【DAY3‐5】ミュンヘン1──王の城と祝祭の街を巡る

旅行

9月19日

ザルツブルクでの静かな余韻を胸に、バイエルン州の州都ミュンヘンへ戻る。アルプスの麓から都会へと移動するこの日、旅はまた新たなフェーズへと進んだ。

費用

項目 金額(€) 金額(円)
ザルツブルク→ミュンヘン(FlixBus) 16.48€ 約2,709円
ミュンヘン市内トラム1日券 8.90€ 約1,464円
BMWミュージアム入場料 12.00€ 約1,973円
ミュンヘンディナー①(Pfälzer Residenz Weinstube) 29.50€ 約4,852円
ノイシュバンシュタイン城ツアー(日本語ガイド付き) 125.00€ 約20,847円
ミュンヘンディナー②(ヴィクトゥアリエンマルクト) 27.50€ 約4,521円
オクトーバーフェスト(飲食・座席費用含む) 42.50€ 約6,989円
宿泊費(9月19日) 3,029円
宿泊費(9月20日) 7,664円
合計 261.88€ 約54,048円

 

【DAY3】

8:45 ザルツブルク南バスステーション

ミュンヘン行きのバスに乗るため、ザルツブルク南バスステーションへ。街の中心から徒歩で1時間以上かかるという、なかなかの距離。重い荷物を背負いながら、自転車専用道を避けつつ歩くのは骨が折れたが、朝日に照らされたアルプスの稜線が見えた瞬間、疲れが少し報われた。

バス停は案内が少なくわかりづらかったが、乗客が多く集まっていたため安心できた。バスは空いていて快適。国境ではパスポートチェックがあり、ヨーロッパの移動のリアルを感じる。

10:45 ミュンヘン中央バスステーション

ミュンヘン到着。ここで弟と合流。ザルツブルクの静けさとは対照的に、ミュンヘンは人も車も多く、都市のエネルギーが満ちていた。駅でトラム1日乗車券を8.9ユーロで購入。

12:00 BMW博物館

ミュンヘン北部のオリンピック公園近くに位置するBMW Welt(BMWワールド)とBMW Museum(博物館)は、ドイツが誇る自動車技術とデザインの粋を集めた施設。新車の展示だけでなく、実際に購入者がスロープを走らせる姿も見られ、まるで未来都市のような空間。入場料12€。

博物館では、クラシックカーから最新モデル、エンジンの構造、モータースポーツの歴史まで幅広く展示されており、車好きにはたまらないスポット。写真映えする曲線美の建築と、展示車両のメタリックな輝きが印象的だった。

16:30~ 街歩き

宿にチェックイン後、街歩きへ。 まず訪れたのは三位一体教会(Dreifaltigkeitskirche)。18世紀に建てられたバロック様式の教会で、内部の天井画と静謐な空気が印象的。

続いてフラウエン教会(Frauenkirche)。ミュンヘンの象徴とも言える2本の塔を持つ大聖堂で、内部には「悪魔の足跡」と呼ばれる伝説の石が残されている。中では帽子を脱ぐように言われた。

マリエン広場では、新市庁舎の仕掛け時計「グロッケンシュピール」が観光客を魅了していた。このあたりはお店が立ち並び、かなり人が集まっていた。オクトーバーフェストが近いこともあり、特別なグッズが売っていたり、音楽を奏でる人がいたりと騒がしい。

ヴィクトゥアリエンマルクトでは、地元の食材や花が並び、生活の息吹を感じることができた。

18:30 夕食 Pfälzer Residenz Weinstube |伝統料理とワインのディナー

夕食はレジデンツ宮殿近くの老舗ワイン酒場「Pfälzer Residenz Weinstube」へ。 ここでは南ドイツの郷土料理を堪能。2人で59€。

  • Winzersteak aus dem Halsgrat(肩ロースのワイン農家風ステーキ) 豚肩ロースを白ワインとハーブでマリネし、ハーブバターを添えて焼き上げた一品。脂と赤身のバランスが絶妙で、口の中でとろけるような食感。
  • フラムクーヘン(Flammkuchen)  アルザス地方発祥の薄焼きピザ風料理。サワークリーム、玉ねぎ、ベーコン、ハーブが乗った香ばしい一枚は、軽食としても人気。
  • プレッツェルとパンの盛り合わせ(Brotkorb)  もちもちのプレッツェルとバゲットの盛り合わせ。塩気と小麦の香りがワインとよく合う。

ワインはケルナーとミュラー・トゥルガウを初めて試飲。どちらもフルーティーで飲みやすく、料理との相性も抜群だった。ワインは0.25ℓ以上グラスになみなみと注がれており、かなりリーズナブルに楽しめる。

【DAY4】9月20日 ノイシュバンシュタイン城ツアーに参加

ミュンヘン発の日本語ガイド付きツアーに参加。公共交通機関では回りきれない複数の名所を効率よく巡ることができ、非常に快適だった。バスガイドの現地在住の日本人の方がバスの中ではこれから行く施設やそれに関連する歴史をしゃべり続けてくれるので観光の理解が深まった。

07:20 ミュンヘン中央駅構内 集合

09:00 ヴィース教会

最初に訪れたのはヴィース教会(Wieskirche)。 ロココ建築の最高傑作とされる世界遺産で、外観は質素ながら内部は「天から降ってきた宝石」と讃えられるほど美しく、金と白を基調とした装飾が施され、天井画と彫刻がまるで天国のような空間を作り出していた。

10:30 マリエン橋からノイシュバンシュタイン城を見る

ルートヴィヒ2世が築いたこの城は、ディズニーランドのシンデレラ城のモデルにもなったと言われる。白い壁と尖塔が山の中腹に浮かび上がる姿は、まさに絵本の世界。2025年に新たに世界遺産に登録された。バスの中でガイドが、世界遺産に登録を目指しているという話があったので登録が決まった時にはうれしかった。

この橋からノイシュバンシュタイン城を見るのが景色としてベストである。季節によっては立ち入れないこともあるようなので注意が必要。個人で向かう方も城内よりもこちらだけでも寄ってほしいポイント

11:00 各自昼食休憩 (約1時間)

昼食はついていない。付近にホットドッグなど軽食屋があるため、食事には困らない。ガイドの方も細かく食事できる場所を伝えてくれた。私は、宿から持ってきたお菓子で簡単に朝食を済ませる。

12:00 ノイシュバンシュタイン城入場

日本語オーディオガイドでルートヴィヒ2世の生涯や城の設計思想を学びながら、豪華な内装と幻想的な空間を堪能。写真撮影は禁止だったが、記憶に残る美しさだった。

城のバルコニーからだけ写真撮影できた。非常に美しい景色が広がっている

車窓から見えたオーバーアマガウは、家々の外壁に聖書や民話のフレスコ画が描かれた村。まるで屋外美術館のような景観で、次回はぜひ歩いてみたいと思った。

15:00 リンダーホーフ城

特に印象的だったのは、広大な庭園に立つ金色の女神像。噴水の中心に輝くその姿は、城の小ささとは裏腹にスケール感を感じさせ、自然と人工美が調和する空間を作り出していた。

ノイシュバンシュタイン城が「夢の城」なら、リンダーホーフ城は「静寂の城」。華やかさの中に孤独と詩情が漂い、どちらが好みかは人それぞれだが、個人的にはこちらの方が心に残るものがあった。写真では伝えきれない繊細な美しさが詰まっていて、訪れる価値は十分にある。

18:30ミュンヘン中央駅前到着 現地解散

ミュンヘンに近づく車内ではガイドから翌日からのオクトーバーフェストの情報やミュンヘンでの食事処などたくさんのお話を聞くことができて非常にありがたかった。

19:00 ヴィクトゥアリエンマルクトで夕食

ノイシュバンシュタイン城ツアーの余韻を抱えながら、夕食は前日から目をつけていたヴィクトゥアリエンマルクトへ。 ミュンヘン旧市街の中心に位置するこの市場は、昼間は地元の食材や花が並ぶ賑やかな広場だが、夕方になると屋外のテーブルが並び、まるでビアガーデンのような雰囲気に変わる。観光客だけでなく地元の人々も集まり、活気に満ちた空間が広がっていた。

この日は特に混雑していて、自然と相席に。隣のテーブルの人々と軽く乾杯を交わしながら、バイエルンの定番料理を注文。2人で55€。

まずは、豚肉のロースト「シュヴァイネブラーテン」。 バイエルン地方の伝統料理で、じっくり煮込まれた豚肉に濃厚なグレイビーソースがたっぷりとかかっている。付け合わせは、もちもちとしたジャガイモの団子「クネーデル」。このクネーデルがソースをしっかり吸ってくれるため、パン代わりに楽しむのもおすすめ。肉の旨味とソースのコクが絶妙に絡み合い、見た目以上に満足感のある一皿だった。

もう一品は、ドイツ料理の王道「ヴルスト盛り合わせ」。 ブラートヴルスト(焼きソーセージ)やクナックヴルスト(皮がパリッとしたタイプ)など、数種類のソーセージが豪快に盛られたプレート。付け合わせには、酸味の効いたキャベツの漬物「ザワークラウト」と、クリーミーなマッシュポテト。脂の多いソーセージとザワークラウトの爽やかさが絶妙なバランス。苦手だけど折角ドイツに来たのならということでビールと合わせていただく。非常に美味。

【DAY5】9月21日 オクトーバーフェスト|世界最大のビール祭で乾杯!

この日は、世界最大のビール祭「オクトーバーフェスト」へ。1810年、バイエルン王国の皇太子ルートヴィヒと王妃テレーゼの婚礼を祝う競馬イベントとして始まったこの祭りは、今や世界中から600万人以上が訪れる一大イベント。会場はミュンヘン市内のテレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)。東京ドーム約9個分の広さに、14の巨大ビールテントと移動遊園地、屋台、ステージが並ぶ。

この日朝起きると、大谷翔平が50-50ならぬ51-51を達成しているニュースが飛び込んできて朝からテンションが上がる。

10:30入場

ミュンヘン中央駅から会場へ向かうと、すでに人の流れができていて迷うことはなかった。 入場ゲート前には長蛇の列。荷物の持ち込み制限が厳しく、カメラも宿に置いて手ぶらで向かったのは正解だった。セキュリティチェックを抜けると、目の前に広がるのは色とりどりの民族衣装「トラハテン」に身を包んだ人々。男性はレーダーホーゼン、女性はディアンドル。まるで映画の中に迷い込んだような光景だった。

日本人の姿もちらほら見かけ、国際色豊かな雰囲気に胸が高鳴る。

11:00パレード

11時前になると、会場の一角にロープが張られ、パレードの準備が始まる。 街から会場へと続く道を、馬に引かれた豪華な山車がゆっくりと進んでくる。これは各公式ブルワリーが誇る伝統の馬車隊で、樽を積んだ装飾付きの馬車と民族衣装のスタッフが行進する姿は圧巻。ブラスバンドの演奏が響き渡り、観客の歓声と拍手が会場を包み込む。

一方で、12時のビール解禁に向けてテントで席を確保しようとする人々も動き始めていた。パレードを見ずに席取りに専念する戦略派も多く、祭りの熱気はすでに最高潮。

空いているように見えるがこちらは予約席。12:00前はアルコールの提供はないが、他の飲み物や軽食は飲み食いしてもよい。

12:00ビール解禁

正午、ついにオクトーバーフェストの幕が開く。 ミュンヘン市長が最初のビール樽を木槌で割り、「O’zapft is!(オーツァプフト・イス=開栓された!)」と叫ぶと、会場全体が歓声に包まれる。これが公式のビール解禁の合図。

テント内はまるでライブ会場のような熱気。バンドの演奏が鳴り響き、テーブルの上で踊る人々、ジョッキを掲げて乾杯する声が飛び交う。ミュンヘン6大公式ブルワリー(アウグスティナー、パウラナー、ホフブロイ、レーベンブロイ、シュパーテン、ハッカー・プショール)が提供するフェストビールは、通常よりアルコール度数が高く、麦の香りとコクが際立つ特別醸造。1リットルのジョッキを片手に「プロースト!(乾杯!)」を交わすたびに、国籍も言語も関係なく一体感が生まれる。

14:30 ホフブロイハウスの座席ゲット

ようやくホフブロイハウスのテントで座席を確保。 ホフブロイはミュンヘン王室御用達の歴史ある醸造所で、テント内は特に人気が高く、予約席が多いため自由席を見つけるのは至難の業。外の席は入れ替わりがあるため、タイミングを見て詰めてもらうなどしてようやく着席。

隣にはフランス人のグループ、そして後から来た伝統衣装に身を包んだアメリカ人の3人組美女。言葉は違えど、ジョッキを掲げればすぐに打ち解ける。ビールだけを注文し、陽気な会話と音楽に包まれながら、まさに“祭りの中にいる”感覚を味わった。ビール1杯15€。アメリカ人とは大谷の話題で盛り上がることができた。やはり日本の誇りだ。

17:30 パウリーナの席ゲット

夕方にはパウラナーのテントへ移動。 こちらはホフブロイよりも落ち着いた雰囲気で、料理の質も高め。フェストビールはややフルーティーで飲みやすく、長時間の滞在にも向いている。

このテントでは、シカ肉のハンバーガーとソーセージの盛り合わせを注文。ジビエの旨味と香ばしいソーセージがビールと絶妙にマッチし、味覚でもバイエルンを堪能。テントごとに料理の特色があるのも、オクトーバーフェストの楽しみのひとつ。隣の人との交流は控えめながら、余ったプレッツェルを頂いたり、アニメ好きの外国人とパッションでつながったりした。食事は2人で40€。ビールは1杯を2人でシェア。

20:00 退場

陽が落ちる頃、会場は幻想的なライトアップに包まれる。 観覧車やメリーゴーラウンドが輝きを放ち、屋台の灯りが祭りの余韻を彩る。昼間の喧騒とは違う、どこかロマンチックな雰囲気が漂い、まるで夢の中にいるような気分だった。

23:55 バス

こちらのバスも切符をとるのが遅くなり、当初考えていたよりもかなり価格が高騰してしまった。バスは遅れてミュンヘン中央バスステーションに到着。次の目的地プラハに向けて期待に胸を躍らせながらも、初めてのバス車中泊ということでやや不安もあった。

総評

この時期のミュンヘンは、まさに“世界が集う祝祭都市”だった。オクトーバーフェストの開催に合わせて、町全体が高揚感に包まれ、空気そのものが浮き立っているような印象を受けた。駅から広場へ向かう人々の足取り、民族衣装に身を包んだ笑顔、そしてテントから漏れ聞こえる乾杯の歌──すべてが非日常の祝祭空間を形作っていた。

その一方で、宿泊費は祝祭前日から急激に高騰。プラハへのバスも想定の何倍もの価格になっており、出費はかなりかさんだ。オクトーバーフェスト期間中のミュンヘンは、旅の予算に余裕を持って臨むべきだと痛感した。

とはいえ、街の治安に不安を感じることは一切なかった。夜でも安心して歩ける雰囲気があり、観光都市としての成熟度を感じさせる。街並みは典型的なヨーロッパの雰囲気を漂わせながらも、建物一つひとつが大きく、店舗数も多く、発展した都市という印象。清潔感もあり、汚いと感じる場面は皆無だった。

今回訪れたルートヴィヒ2世の城──ノイシュバンシュタイン城とリンダーホーフ城──は、ドイツ全体を見渡してもトップクラスの観光スポットとして恥じない美しさと壮大さを兼ね備えていた。ノイシュバンシュタイン城の幻想的な外観と、リンダーホーフ城の繊細で豪華な内装。どちらも王の夢と孤独が形になった空間であり、訪れる者の心に深く残る。

食事に関しては、事前の評判では「ドイツ料理は期待できない」と聞いていたが、実際には十分に満足できた。シュヴァイネブラーテンやヴルスト盛り合わせなど、肉料理の力強さとソースの深みは印象的だった。特に嬉しかったのは、ワインが美味しくて安いこと。ケルナーやミュラー・トゥルガウなど、初めて飲む品種も多く、料理との相性も抜群だった。ビールは旅の前から正直苦手だったが、オクトーバーフェストの雰囲気に任せてそれなりに飲むことができた。巨大テントの中でジョッキを掲げる瞬間は、まさに“旅の中の挑戦”だったと思う。少しは克服できた気がする。

オクトーバーフェストの非日常感は、これまで訪れたどのイベントとも比較にならないほど圧倒的だった。海外の遊園地のようなギラギラ感、熱気、建物の構造、スケール、色遣い、看板のフォント──言葉にするのが難しいが、異国感・異世界感という点では、過去に訪れたインドに匹敵するレベル。まさに“異文化の渦”に巻き込まれるような体験だった。

ただし、テント内でのビール体験は、ある程度のコミュニケーション能力が試される場面も多い。英語が苦手な日本人や、旅慣れていない人には少しハードルが高いかもしれない。とはいえ、テントの外から雰囲気を味わうだけでも十分に楽しい。祭りの空気に触れるだけで、ミュンヘンという街の懐の深さと祝祭文化の豊かさを感じることができる。オクトーバーフェストが終わった後のミュンヘンも果たして楽しい都市なのか。1か月の旅の終着地点として再び帰ってくるその時にまた判断しようと思った。

 

次回へ続く──

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