【DAY13】プリトヴィツェ湖群国立公園 グリーン、ブルー、無色に揺れる湖面──木道と滝が織りなすプリトヴィツェの神秘を歩く

旅行

9月29日

ブダペストの温泉で2日間しっかりと痛めていた足を揉み込んだおかげで、足のコンディションは万全。前回、ミュンヘンからプラハへのバス移動で喉を痛めて風邪をひいた経験があったため、今回は水分補給を意識して乗車。その甲斐あって喉の調子も良好。体調としては、3日連続で睡眠環境が悪かったことによる睡眠不足くらいで、全体的には問題なし。

今回の記事は、個人でザグレブからプリトヴィツェに向かいたいという方にも参考にしてもらいたい。全体を回りたいが時間的に不安という方にも、総評にてモデルコースを提案している。

費用

項目 金額(€) 日本円換算(概算)
ブダペスト → ザグレブ(移動) 26.48€ ¥4,412
ザグレブ ⇄ プリトヴィツェ(往復) 14.99€ ¥2,598(※片道換算)
プリトヴィツェ → ザグレブ(再購入) 18.74€ ¥3,111
入場料(9月料金) 40.00€ ¥6,641
バス予約ミス(未使用) 14.99€ ¥2,598
合計 115.20€ ¥19,360

プリトヴィツェ湖群国立公園とは

クロアチア中部のリカ地方に位置するプリトヴィツェ湖群国立公園は、1949年にクロアチア初の国立公園として指定され、1979年にはユネスコ世界自然遺産に登録された。石灰岩地形の浸食によって形成された16の湖と92の滝が、トラバーチン(石灰華)の堤防によって階層的に連なり、幻想的な景観を生み出している。

湖の色は、光の角度、水中の鉱物、微生物の影響で、エメラルドグリーンから青、灰色まで多彩。木製の遊歩道が整備されており、湖の上を歩いているような感覚でハイキングが楽しめる。

季節による違いと注意点

  • 春(4〜5月):雪解け水で滝の水量が多く、緑が鮮やか
  • 夏(6〜8月):観光客が多く混雑、ボート待ち時間あり
  • 秋(9〜10月):紅葉が始まり、静けさと色彩が美しい
  • 冬(11〜3月):一部エリア閉鎖、雪景色が幻想的だが寒さ厳しい

🧭アクセスと旅程の難しさ

プリトヴィツェ湖群国立公園には必ず行きたいと思っていたが、旅程を組む段階でかなり苦労した。個人でバスを使って訪れ、園内を回り、次の目的地へ向かうという流れが情報不足で非常にわかりにくい。ザグレブからの日帰りツアーも検討したが、ドブロブニク行きの夜行バスに間に合わなくなるため断念。

さらに、プリトヴィツェは入園時間ごとに入場者数が制限されており、遅れる可能性のあるバス移動では、どの時間帯のチケットを取ればいいのか判断が難しい。プリトヴィツェから直接ドブロブニクへ向かう案も、乗り換えや到着時間の問題で現実的ではなかった。また、10月から入園料が安くなるため日程をずらすことも検討したが、スケジュール上不可能だった。

  • アクセス方法(個人旅行者向け)

プリトヴィツェ湖群国立公園(Plitvička jezera)は、クロアチア中部のリカ地方に位置し、最寄りの都市は首都ザグレブ。公共交通機関を利用する場合、ザグレブ中央バスステーション(Autobusni kolodvor Zagreb)から長距離バスで約2時間半〜3時間の道のり。

  • バス会社:FlixBus、Arriva、Prijevoz Kneževićなど複数あり
  • 所要時間:約2時間30分〜3時間
  • 料金目安:片道約15〜20ユーロ(時期・会社によって変動)
  • 発着地:プリトヴィツェには「Entrance 1」「Entrance 2」両方に停車する便があるが、事前に確認が必要

入場料とチケット情報

プリトヴィツェは入場時間ごとに人数制限があるため、事前予約が推奨される。公式サイトでオンライン購入可能。

時期 大人料金(1日券) 備考
4月〜9月 40€前後 ハイシーズン、混雑あり
10月〜3月 10〜25€程度 ローシーズン、割引あり

プリトヴィツェ湖群国立公園の公式サイトでは、最新の入場料、開園時間、ルート情報、園内施設の案内が確認できます。チケットはオンライン予約が推奨されており、混雑する時期は事前購入が必須です。

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※入場時間ごとに人数制限があるため、バスの到着時間に合わせて余裕を持った時間帯を選ぶのが安全。

5:45 ザグレブ中央バスステーション着

実際にはもっと早く到着。まだ夜が明けておらず、暗い中で広いバスステーションを歩き回る。プリトヴィツェ行きのバスがどこに来るのか分からず、構内のあらゆる乗り場や外のバス停を確認。しばらくして電光掲示板に乗り場が表示され、ようやく安心。6:45発のバスに乗車。

車内で、帰りのバスの予約時間を間違えていたことに気づき、急いで修正。もし気づかなかったら、ドブロブニク行きのバスに乗り遅れていたかもしれない。

9:00 プリトヴィツェ湖群国立公園 到着

エントランス2付近のバス停に到着。公園の入り口とは別にインフォメーションセンターのようなものが、バス停からしばらく歩いたところにある。この施設が公式にはエントランス2と呼ばれているようだが、公園とは道路を挟んで反対側なので注意。そこで荷物を預けることができる。そこから、入り口までもしばらく歩くことになるので少しわかりにくい。

9:30 散策開始

エントランス2から入場。厳密にはこの場所はSt2である。入場ゲートの外に泊まっている園内バスに乗ってSt3まで移動。St3には入場ゲートがなかったので、チケットはバス乗車時に提示するだけだった。時間ごとの入場人数が決まっているのに厳密なチェックがないことに拍子抜け。

青い線が行きでオレンジが帰り

標高が高いためか、これまで旅してきた地域と比較して南にあるにもかかわらず、これまで訪れた都市よりも寒く感じる。看板を見て、所要時間4〜6時間のHコースを選択。まずは上湖エリアから散策開始。

上湖群

上流湖群は、12の湖が階段状に連なっているエリアで、森林に囲まれた静かな雰囲気が特徴。水源に近いため、湖の透明度が非常に高く、倒木や魚が水中にくっきりと見える幻想的な景観が広がる。

また、園内は木道が整備されておりその全長は18km。細くて横に3人が限度、すれ違いや追い越しは難しい。歩き心地はいいが、隙間もあるので足元注意。混雑時はなかなか進めないことも。しかしこの木道が景観を邪魔せずいい味を出している。

途中、Kコースでのみ行ける登山ルートに入り、展望台へ向かう。朝は雲が多かったが、徐々に晴れ間がのぞくようになる。展望台までの山道は特に見どころもなく、長くて単調だったため、登らなくてもよかったかもしれない。展望台からの景色は、葉が少し色づき始めている時期で、秋の気配が感じられた。(10:00)

展望台からの景色。奥に向かって、湖が下がっていくのがわかる。

上湖群は地図を見てもわかるように、湖のどちら側にもルートが用意されている。分岐路にはルートごとに矢印付き看板があるのだが、それに沿っていると見どころを見逃しかねない。実際特に見どころが固まっているエリアを見逃しかけて引き返したので、注意が必要。

主な見どころ:

ヴェリキ・プルシュタヴァッツ滝(Veliki Prštavac):上湖最大の滝。水量が多く、勢いよく流れ落ちる様子は圧巻。(10:40)

  • マリ・プルシュタヴァッツ(Mali Prštavac):小ぶりながら美しい滝。(10:50)

ガロヴァチキ・ブク(Galovački Buk):水と緑のコントラストが美しい滝。(11:00)

ガロヴァチキ・ブク(Galovački Buk)」と呼ばれる滝のすぐ近くの滝。

その他、上湖群 お気に入り写真

水の中に倒木がされているのも人のいない自然の演出

この湖は湖面青く輝いていた

魚が泳いでいる湖も多い

 

倒木が透けるほどの透明度

11:30 ボート乗り場(p2→p3)

最大の湖であるコジャク湖(Kozjak)を渡るボートに乗船。尋常ではない寒さで、風が肌を刺すよう。静かな水面を滑るように進む時間は、歩き疲れた体を少し癒してくれる。

12:00 下湖群

下流湖群は、4つの湖が峡谷状の地形に沿って連なっているエリアで、滝の密度が高く、迫力ある景観が楽しめる。岩肌が露出しており、上流湖とは異なるダイナミックな印象。このころにはかなり天気が良くなり日差しも強くなってきて、気温も上がってきた。日の光が湖面に反射してより美しい景観を作り出していた。

ミラノヴァッツ湖からガヴァノヴァッツ湖へ、階段状に流れ落ちる滝が美しい。植物の間をかき分けるように水が流れており、人工的には作り出せない自然な姿を実感。

落差が小さく滝というより小川のよう

湖を挟む両サイドが崖になってきており、渓谷の印象が強くなってくる。

道の分岐がなく、時間なのか、人気なのかはわからないが観光客が上湖群よりかなり多くて、細い木道を一列に並んで進んでいく。

12:30 プリトヴィッツェ滝(大滝)

公園最大の滝で、落差78m。轟音とともに流れ落ちる水が岩肌を濡らし、霧のような水しぶきが漂う。

13:00 エントランス1に到着

渓谷を上から眺める。エントランス1は大滝や湖を眼下に見渡せる立地で、複数の展望ポイントがある。

大滝や木道を一列になって進む観光客の姿までくっきり確認できる。

この時点で、この公園で見られる部分はほぼすべて制覇してしまった。展望台なども言ったが4時間。事前に思っていたよりも園内が狭いという感覚。ゆっくりと下湖群を見返しながら戻ろうと思う。(地図のオレンジルート)

14:00 p3に再到着

再び園内の休憩スポットp3へ。食事なども提供されているが、特に何かを食べる気にはならず、少し休憩。

14:20 コジャク湖の周りを船に乗らず歩くことにする

公園内はほぼ回り切ってしまい、見る場所も残っていない。ただ、船に乗って戻るとバスの時間まで長く待つことになるため、コジャク湖の周囲を歩いてP2付近まで戻ることにした。

P3当たりの岸から見たコジャク湖をローアングルで。水の透明感が素晴らしい

このルートは整備されておらず、道幅も狭く、足元も不安定。見どころも少なく、すれ違う人もいない。遠くにコジャク湖を渡る船が見える程度で、静かな時間が流れる。早歩きでも1時間ほどかかるため、時間調整には向いているが、観光目的で選ぶルートではない

船を遠目に見て、徒歩を選択したことを後悔

15:20 P2付近の湖畔で休憩

コジャク湖を歩き切ると、P2のあたりに到着することになる。とはいえ1時間のハイキングの到達点がこの場所でよかった。

というのも、名前があるのかも知らないが、個人的に公園内で一番美しいと思っている湖があったからだ。上湖群散策時点でお気に入りスポットとして目をつけていたのだ。木道に腰を下ろしてしばらく眺める。湖面は鏡のように静かで、雲がなくなり陽が差して暖かくなってきた。風も穏やかで、木々のざわめきと水音だけが響く。観光客も少なく、静かに自然を感じられる貴重な時間だった。

16:00エントランス2に到着

バスの出発までしばらく待機。園内の水場で水を汲んだのだが、水の豊かな公園の湧き水だからさぞおいしいだろうと思っていたら、意外にも砂っぽくてテンションが下がった。見た目は澄んでいるのに、味は期待外れ。バス小屋で座ってバスが来るのを待つ。待っている間、本当に来るのかいつも不安になる。

7:15 → 19:05 バスでザグレブへ(実際は19:40着)

帰りのバスは遅れて到着し、ザグレブには19:40頃着。もし予約時間の修正をしていなかったら、ドブロブニク行きのバスに乗り遅れていた可能性もある。バスステーションは巨大な電光掲示板があり、どのバスに乗ればよいかは非常にわかりやすい。飲食店も複数あり、待ち時間も過ごしやすい。早く着いたら少しだけザグレブの街を見ようかと思ったが、日中たくさん歩いたし、外が暗くて気力がわかず待機.

治安は悪くないが、黒人やお金がなさそうな人が職務質問を受けてパスポートの提示を求められている場面もあり、自分もされるかもしれないと少し警戒していた。

総評

プリトヴィツェで最も印象に残ったのは、湖面の色の変化だった。グリーン、ブルー、無色——その時々の光や角度によって、まるで生き物のように表情を変える水面は、ただ眺めているだけで飽きることがなかった。湖の中にまで入り込む倒木や草木、そしてそれらを縫うように敷かれた木道が、自然と人の境界を曖昧にし、神秘的な景観を生み出していた。

園内には「見どころ」とされる滝や湖がいくつもあるが、ふとした瞬間に目に飛び込んでくる名もない景色こそが、結局一番心に残ったように思う。観光地として整備されてはいるものの、自然の偶然性が随所に残っていて、それがこの場所の魅力を支えている。

広さについては、事前に聞いていたほどではなかった。ただし木道が細いため、混雑時には所要時間が伸びる可能性がある。そのため、よほど特定の時間帯に見たい景色があるのでなければ、宿泊して2日間かけて回るほどの規模ではないと感じた。よく言われる上湖群と下湖群どちらがおすすめかという議論は絶対両方行くべきである。展望台にはいかずに急げば3時間強で回り切れることを考えれば時間がなくてもあきらめる必要はない。また個人でバスで行く場合、ザグレブへ帰るバスが16時から18時まで1本ずつしかないので午前中に到着すれば最短でも5時間くらいは余裕があるはずで十分にすべて回り切れるといえる。私のめぐったルートを踏襲するならエントランス2から入って園内バスでSt3まで向かい、展望台の登山ルートに入らずに、ヴェリキ・プルシュタヴァッツ滝等を見ながらP2を目指す。P3まで船で移動し、大滝を見たのち、エントランス1からSt1まで歩き園内バスでエントランス2に戻る。というのが最速で回り切れると思われる。

上湖群では、ルートに従いすぎる必要もない。数年前にルート名称が変更されており、分かれ道の看板もあったりなかったりするため、ヴェリキ・プルシュタヴァッツ滝だけは見逃さないようにしつつ、あとは自由に歩いても問題ない。

アクセス面では、ザグレブからの個人日帰り観光は可能。ただし、電車は通っておらず、周辺に大きな都市もないため、観光しやすい場所とは言い難い。バスの本数も少なく、バス停が2つあること、入場チケットが時間制かつ入口ごとに販売されていることなど、注意点が多い。事前にしっかり調べておかないと、到着してから戸惑うことになる。

今回の反省点としては、景色の美しさに気を取られすぎて、記事執筆に必要な写真をあまり撮れていなかったこと。公園に入る前の段階や、バスステーションの様子など、後から必要になる写真が手元にないのは痛かった。次回からは、記録者としての視点も忘れずに持ち歩きたい。

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