9月27日
前日に駅に降りた時点で、プラハやウィーンと比べて街がやや荒れている印象を受けた。駅で寝泊まりしている人が多かったり、ゴミの量や建物の汚れが目についたりと、そういう部分が気になった。もちろん、プラハやウィーンがきれいすぎるというのもあるので、単純な比較は申し訳ない気もするが、第一印象としてはそう感じた。
費用
日付 | 項目 | 内容 | 金額(HUF) | 日本円換算(概算) |
---|---|---|---|---|
9月27日 | Király 100 | マンガリッツァ豚ステーキ+ワイン | 12,317 Ft | ¥5,170 |
ルダシュ温泉(Rudas) | 入浴料+施設利用 | 9,300 Ft | ¥3,904 | |
9月28日 | 国会議事堂ツアー | 入場料+ガイド | 12,399 Ft | ¥5,264 |
VakVarjú Restaurant | フォアグラ料理+トカイワイン | 11,264 Ft | ¥4,753 | |
ヴェリ・ベイ温泉(Veli Bej) | 入浴料 | 5,500 Ft | ¥2,320 | |
Menza Étterem és Kávéház | 鴨肉チーズリゾット+ワイン | 8,378 Ft | ¥3,535 | |
両日共通 | 宿泊費(2泊) | 宿代(簡易宿) | — | ¥2,947 |
合計 | — | — | 59,158 Ft | ¥27,893 |
9:00 セーチェーニ鎖橋
ドナウ川に架かるブダペスト最古の恒常橋。1849年に完成し、ブダ地区とペシュト地区を結ぶ象徴的な吊り橋で、世界遺産にも含まれている。橋の両端にはライオン像があり、観光名所としても定番。
前日の宿がひどすぎて寝不足気味だったが、曇り空の下で観光開始。橋の向こうに整然とした街並みが見えてきて、少しテンションが上がる。
9:30 王宮の丘
ブダペストの高台に位置する歴史地区。丘の上にはブダ王宮があり、現在は美術館や博物館として利用されている。ケーブルカーで登れるはずが、早朝だったため運行しておらず、徒歩で迂回して登ることに。かなり疲れる。
ブダ王宮に到着。内部見学はパス。ここ最近、美術館や宮殿ばかり見ている気がして、さすがに飽和気味。もちろん、日本にはない豪華な建物であることはわかるのだけど、シェーンブルン宮殿やプラハ城、ベルヴェデーレ宮殿を見た後だとどうしても見劣りしてしまう。街並みに続いてこんな評価をしてしまい申し訳ない気持ち。旅の順番を間違えたかな。
10:00 三位一体広場、マーチャーシュ教会、漁夫の砦
王宮の丘の北側に広がる観光エリア。三位一体広場にはバロック様式の三位一体像が立ち、周囲には歴史的建造物が並ぶ。この広場には水がわいており、貴重な給水スポットとして活用させていただく。
マーチャーシュ教会は13世紀創建のゴシック様式で、ハンガリー王の戴冠式も行われた由緒ある教会。屋根のギザギザしたモザイクタイルが特徴的で、赤くカラフルな屋根が目を引く。旅も中盤に差し掛かり、もはや、有料で教会の内部を見たいという欲求は湧かず。
漁夫の砦は19世紀末に建てられた展望施設で、白い尖塔が並び、まるでおとぎ話の城のよう。ここから眺める対岸の国会議事堂は圧巻。王宮よりも美しく見えるほど。日本の国会議事堂も独特な感じで嫌いではないけど、ハンガリーのそれはもはや城。ウィーンで仲良くなった韓国人が「数日前に訪れた時には洪水の影響でライトアップが中止されていた」と言っていたので、夜景が見られることを祈るばかり。
12:00 Király 100
ハンガリーは非常に食事がおいしいとされているので、期待感が高い。マンガリッツァ豚という羊のように毛でモフモフしている豚も有名な食材の一つであり、この豚を食べるために店を調べた。
今回訪れたのは、日本のテレビ番組でも紹介された人気店「Király 100」。ハンガリー料理をモダンに楽しめるレストランで、観光客にも地元民にも評判が高い。
注文したのは、マンガリッツァ豚のステーキ。 皿の上には、トマトベースの赤いソースがたっぷりとかかった分厚い豚肉。ナイフを入れると、驚くほど柔らかく、断面からはじんわりと脂が滲み出す。 ひと口食べると、脂の甘みと赤身の旨みが同時に押し寄せてくる。豚肉とは思えないほどジューシーで、ソースの酸味がその濃厚さを絶妙に引き締めてくれる。
ワインとの相性も抜群で、ワインを合わせると、肉のコクがさらに際立つ。接客も丁寧で、日本語メニューもあり、安心して食事が楽しめる。
14:00 ルダシュ温泉
ブダペストには温泉文化が根付いており、市内には10以上の温泉施設が点在している。その中で選んだのが、16世紀にオスマン帝国によって建てられた歴史あるルダシュ温泉。トルコ風呂と呼ばれるドーム型の浴槽が有名で、屋上にはドナウ川を望む露天風呂もあり、夜景が見られると評判。一番有名なセーチェーニ温泉は翌日行くことにして、いざ異国の温泉を楽しむ。
水着を着用し、ビーチサンダルで移動(持っていない場合は購入する必要あり)。館内はかなり広く、入り組んでいて迷う。温度の低い浴槽が多くて、温泉というよりは温水プールのような印象。と思ったら本当に25メートルプールまである。水着を着ているし、女性も同じ浴槽に使っているということが余計にプール感を漂わせる。サウナの種類は豊富。トルコ風呂はドーム型の美しい空間で、水温もややぬるめ。周囲には温度の違う4つの浴槽があり、最高温度は40度を超えていた。ここは満足。このトルコ風呂の利用に関しては、男性のみや女性のみなど曜日によって利用できるかが決まっているようだ。その際は、水着なしの入浴ということもあるらしい。自分が行った日は男女混浴の水着着用という日だったようだ。
<photo credit: rudasfurdo.hu/>
<photo credit: rudasfurdo.hu/>
屋上の露天風呂は狭く、人がすし詰め状態。体が濡れていて水着しか着ていないため寒く、夜景どころではなかった。全体的に水温が低くて寒いのと、テーマパークのような騒がしさ、人の多さが気になった。日本の温泉のような静かでまったりした雰囲気が好きな自分にとっては、あまり満足できない空間だった。とは言え3時間くらいは温泉の様々な場所を見て回り、久々の浴槽を堪能した。痛めている足を揉みこめる環境があってありがたい。
宿へ戻る
宿へ戻る途中の日が沈みかけている時間帯になんてことのない街並みにシャッターを向けたがかなり幻想的だった。
9月28日
2夜連続、クラブの2階での寝泊まり。早めに戻って眠っていると23時頃から3時頃にかけてアップテンポの曲と客の歓声が鳴り響く。間に壁が一枚しかないのでノイズキャンセリングイヤホンで気休めするも音は貫通してくる。あとで、ホステルの説明をよく見たら眠る場所だとは思うな。みたいなことが書いてあった。クラブの外観もツタが絡まり、何とも怪しい。この宿に宿泊したことがブダペストの外観や雰囲気について辛口評価してしまう所以なのかもしれない。
8:15 国会議事堂ツアー
ハンガリーの象徴とも言える国会議事堂。ネオゴシック様式で建てられた壮麗な建築で、世界で最も美しい議事堂のひとつと称される。ドナウ川沿いにそびえ立ち、外観はまるで宮殿か城のよう。
内部見学は予約必須。入り口は地下のような場所にあり、少しわかりにくい。日本語ガイドを受け取ってツアー開始。王冠の間では、ハンガリー初代国王・聖イシュトヴァーンの王冠が展示されているが、衛兵が立っていて写真撮影は不可。ステンドグラスが美しく、窓からはドナウ川がすぐそこに見える立地も秀逸。内部はとにかく金箔がふんだんに装飾に用いられており、ぴかぴかで目がくらみそうになった
足元の絨毯は一枚で織られているとのこと
9:30 ドナウ川遊歩道の靴
第二次世界大戦中、ホロコーストによってユダヤ人がこの場所で処刑された悲しい歴史を記憶するモニュメント。靴は当時貴重品であったため脱がされたとのこと。子供の靴もあるのが胸を苦しめる。
10:00 世界一美しいとされるマクドナルド
ブダペスト西駅(Nyugati)構内にあるマクドナルドは、「世界一美しいマクドナルド」とも評される。そもそも駅舎がパリのエッフェル塔を設計したことでも知られる「ギュスターヴ・エッフェルによって設計されているとても歴史ある造りで、その一部であるため外観が美しいとされるのは当然といえば当然。内装も天井が高く照明や装飾の雰囲気が抜群なので世界一という呼び名に恥じないマクドナルドであった。混雑していたため入店はしたものの席に座れず、内装を見るだけにとどまった。
このタイミングで大雨が降り出し、足止め。近くのスーパーなどで地元の食品を見ながら雨が止むのを待つが、やむ気配がない。雨の中次なる目的地へ。
12:30 VakVarjú Restaurant
有名なレストランComme Chez Soiに行ってみたのだが、やはり予約がないとだめということで断られた。日本人が多く予約していたので国内でよく紹介されているのだろう。
しかしながら折角ブダペストに来たのだからフォアグラを食べたいと思い、雨の中フォアグラが食べられる店を探して入店。注文したのは「鴨レバーのソテー ハンガリー風レチョー添え」と「トカイワイン」。
フォアグラ自体は特段好きというわけではなかったが、外はカリッと、中はとろけるような食感で、おいしいと感じた。レチョーはパプリカ、トマト、玉ねぎを煮込んだハンガリー版ラタトゥイユのような野菜料理で、夏野菜の甘みと酸味が鴨レバーの濃厚さを引き立てる。
トカイは世界三大貴腐ワインのひとつで、甘くて好み。料理に合っていたかは微妙だが、とにかく好き。似た名前の「Tokaji」というワインがあり、そちらは全然甘くない。他の店で間違えて注文したこともあるので注意。店内はおしゃれだが混雑していて、韓国人観光客がやたら多い印象。
14:00 聖イシュトヴァーン大聖堂
ハンガリー初代国王・聖イシュトヴァーンに捧げられた大聖堂で、ブダペスト最大の教会。高さ96mのドームは市内で最も高く、内部には聖イシュトヴァーンの右手の聖遺物が安置されている。外観は荘厳で、内部も金装飾と大理石がふんだんに使われている。
これまで見てきた大聖堂の中でも、外観からして格別に大きくて立派。ただ、基本的に無料で入れる大聖堂のくせに有料なのは頂けない。とはいえ、雨が降っていたので雨宿りがてら入ってみると、たまたま特別な日だったらしく無料で入場できた。運がいい。ドームに上って街を見わたせるスポットなのだが、雨も降っている中当然そんなこともしない。
本来なら今日はセーチェーニ温泉にでも行こうと思っていたのだが、昨日のルダシュ温泉が期待外れだったこと、セーチェーニ温泉はよりプールっぽくて屋外の温泉が魅力なのに雨で寒いこと、さらに衛生面の不安を感じるレビューを見たこともあり、高いお金を払ってまで行こうという気が失せてしまった。やることがなくなったので、この大聖堂の中で1時間くらいだらだら過ごすことに。この日は1日中リュックを背負って観光しているのもあり肩が痛いのでお金を払わず座って休める場所は貴重。
父親とLINEしていたら、以前行ったという他の温泉をすすめられたが、すでに廃業していた。とはいえ、明日から2夜連続のバス車中泊ということを思い出し、この機にお風呂に入っておくのは悪くないと判断。良さそうな温泉を探して行ってみることにする。
16:30 ヴェリ・ベイ(Veli Bej)温泉 入浴開始17:30
というわけで、結構な距離歩いてヴェリ・ベイ(Veli Bej)温泉に到着。
ブダペストでもあまり知られていない温泉施設。隣にはルカーチ温泉があるが、こちらはより静かで地元民向け。外観からは本当に温泉なのかと疑うような感じで、実際には病院施設と併設されている。救急車が到着する様子も見られ、少し不安になる。
受付に行くと「1時間待ち」とのこと。そんなに人気なのかと驚くが、室内のソファで待てるので整理券をもらって待機。きっかり1時間後に入浴。こちらも水着着用必須で男女混浴。
館内にはルダシュ温泉と同様のトルコ風呂があり、ほとんどそれだけのシンプルな構成。お客さんはそこそこ来ている。水温は36度くらいで、ぬるめだが長居しやすい。浴槽の中央にはお湯の吹き出し口が4つあり、滝行のように体を当てている人もいた。のんびり1時間ほど入浴。かなり待ったこともあり、人は多かったがルダシュ温泉に比べると静かで過ごしやすかった。
他にはサウナがある程度。外はすっかり真っ暗。入念にシャワーを浴びて、これから待ち構える2泊の車中泊に向けて準備万端。更衣室の鏡を見ると、なんだか自分の顔が痩せてかっこよくなっている気がした。連日ものすごい距離を歩いているし、3食食べているわけでもないから当然といえば当然か。旅行を楽しんでお金を節約するだけで痩せるとはお得だ。
<photo credit: irgalmasrend.hu>
19:30 漁夫の砦 夜景
昨晩は温泉の後に気力がわかず夜景を見られなかったが、ドナウの真珠とも評されるブダペストの夜景を見ずに旅を終えることなど許されない。ということで、真っ暗の中、温泉で濡れたタオルを乾かしながら昨日も訪れた漁夫の砦へ向かう。
ライトアップされていて非常にきれい。ただ、懸念していた通り、韓国人の友人の情報通り国会議事堂のライトアップは実施されておらず残念。他の場所と比べてもこの周辺はライトアップされているため人が集まっている。
国会議事堂が照らされていないとなると、ここからの眺めよりも、橋のあたりから対岸の王宮や漁夫の砦の方を眺める方が夜景として映えていた。夜になって橋の形状が非常に夜景と相性が良いと実感できたし、ただ明るいだけではなく、品のあるライトアップであり、世界的に評価される夜景の美しさを十分に味わえたと思う。
この後はナイトクルーズに乗船してもう少し夜景を楽しむ予定だったのだが、国会議事堂が照らされていないならということで予定変更。折角ご飯がおいしい国に来たのだから、夜ごはんも楽しんでおこうと気持ちを切り替えた。
21:00 Menza Étterem és Kávéház(メンザ)
ブダペスト最後に訪れたのがこちらのレストラン。バスの時間も迫る中、かなり混雑していて結構な時間待つことになる。バーカウンターに座らされて待っていたのだが、ものすごい量のコバエが飛んでおり、飲食店としてはかなりのマイナスポイント。店内はおしゃれなのにもったいない。
ようやく席に着いたが、タップウォーターの提供がないとのこと。こちらは2つ目のマイナスポイント。注文したのは鴨肉のチーズリゾットとワイン。このチーズリゾットが、いろいろお店を調べている中でおいしそうだったので寄った。
気になるその味だが、非常に美味だった。キノコとチーズのうまみが十二分にしみ込んだリゾットと鴨肉の相性が抜群。鴨肉は少し硬めだが、うまみが非常に強い。とにかくうまみ成分が強い食材がそれぞれ主張してくるので、パンチがあって好きだった。寄ってよかった。この旅行の食事ランキングでいえば、マンガリッツァ豚のステーキと僅差だが暫定1位をあげたい。
23:25 ブダペスト→ザグレブ
食後、徒歩でバス停まで向かう。少し離れた駅の近くのバス停から出発ということで、電車で行けば安全なのだが、終電が出発時刻よりだいぶ前なのと、街の中心部からだいぶ離れているためか、付近に飲食店などがないことは事前に調べてあった。早めに行っても暗い中で1時間以上待つだけだということで、時間が読みやすい徒歩を選択。
基本的にはブダペストで一番太い道路に沿ってひたすらまっすぐ歩くだけなので、そんなに不安はない。リムジンを貸し切った若者が車の天窓から体を乗り出しているのを見ながら、粛々と夜の街を歩く。
途中、セーチェーニ温泉や英雄広場があるシティパーク(Városliget)を通り過ぎると間もなくバス停。このあたりが特に暗くて、地下道のような場所を通る必要もあったので少し怖かった。
この度2度目の車中泊。移動距離も長いし、不確定要素もあるため気を引き締めねば。
総評
街並みに関しては、ウィーンやプラハと比べるとやや劣る印象を受けた。一つ一つの建物が大きめで、色味も石に近い白っぽい灰色が多く、形も似通っているため、統一感はあるものの、個人的にはくすんだ印象が強かった。もちろん、この統一感を好む人もいるとは思うが、華やかさや色彩の豊かさという点ではプラハやウィーンの方が上に感じた。
その一方で、食事は圧倒的にブダペストに軍配が上がる。マンガリッツァ豚やフォアグラ、トカイワインなど、ハンガリーならではの食材と味付けが印象的で、どの店でも満足度が高かった。
観光面で特に印象に残ったのは、国会議事堂の内部見学。外観もさることながら、内部の豪華さと歴史的な重みは圧巻だった。また、温泉文化が根付いている点も、他のヨーロッパの都市とは違った魅力。もう少し暑い時期であれば、温泉というよりプール感覚で友人同士、恋人同士で楽しむのも良さそう。逆に一人だと、テーマパークに一人で来たような気まずさを覚える。ハワイアンズに一人で行くことなどないでしょうといったらわかりやすいかと思う。一人旅なら有名どころよりも、現地の人が利用するような場所を探すのがいいかもしれない。
治安については、駅周辺は少し空気が悪いように感じたが、夜に真っ暗な中を歩いても特に危険を感じることはなかった。大通り沿いを歩くことが多かったせいか、プラハやウィーンよりも街灯が多く、むしろ明るい印象すらあった。
旅全体を通して、この頃から疲労と飽きがじわじわと出てきたのも事実。特に初日に王宮を見たときなどは、観光がやや雑になっていた気がする。豪華な建物を見慣れてしまったせいか、感動の閾値が上がってしまったのかもしれない。
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