10月4日
ローマでの濃密な2日間を終え、次の目的地はフィレンツェ。人混みと歴史の重みに包まれたローマから、芸術と街並みの調和が美しい地へ。まだ見ぬダビデ像やウフィツィ美術館の名画に期待を膨らませながら、朝のテルミニ駅に向かう。
- 費用
- 7:30 テルミニ駅→フィレンツェ
- 10:30~ 街歩き|フィレンツェ旧市街
- 11:30 ミケランジェロ広場 (Piazzale Michelangelo)
- 12:00 サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドゥオモ
- 13:30 昼食 Trattoria dei tre amici – Bisteccheria Firenze
- 14:20 サン・ジョヴァンニ洗礼堂(Battistero di San Giovanni)
- 15:30 ジョットの鐘楼
- 16:15 アカデミア美術館
- 19:00 夕食 Fuoco Matto
- 8:45 ウフィツィ美術館 (Galleria degli Uffizi)
- 12:00 食事 Trattoria Zà Zà
- 13:30 フィレンツェ → ピサ(Trenitalia)
- 15:30 ピサの斜塔
- 18:30 お別れ
- 総評
費用
項目・施設名・店名 | 金額(€) | 日本円換算(概算) |
---|---|---|
交通費(Italo/ローマ→フィレンツェ) | 13.50€ | ¥2,249 |
ドゥオモ入場料 | 30.00€ | ¥4,947 |
昼食(Trattoria dei tre amici) | 33.00€ | ¥5,694 |
宿泊税(フィレンツェ) | 4.00€ | ¥690 |
アカデミア美術館20€+ウフィツィ美術館23€ | 43.00€ | ¥7,091 |
夕食(Fuoco Matto) | 34.75€ | ¥5,996 |
宿泊費(フィレンツェ) | — | ¥4,780 |
昼食(Trattoria Zà Zà) | 31.50€ | ¥5,437 |
交通費(フィレンツェ→ピサ) | 9.30€ | ¥1,604 |
宿泊税(ピサ) | 2.00€ | ¥333 |
ジェラート(ピサ広場) | 3.00€ | ¥518 |
宿泊費(ピサ) | — | ¥5,501 |
合計 | 204.05€ | ¥50,100 |
7:30 テルミニ駅→フィレンツェ
ローマ・テルミニ駅から高速鉄道Italoに乗ってフィレンツェへ移動。約1時間半の快適な車内で、前日までのローマの喧騒を振り返りつつ、次の都市への期待が高まる。
10:00にフィレンツェ到着。宿に荷物を預けると、ホステルとは思えないほど立派な受付と清潔感のある内装に驚く。街歩きの準備を整え、まずはミケランジェロ広場を目指す。
10:30~ 街歩き|フィレンツェ旧市街
フィレンツェの旧市街は、ユネスコ世界遺産にも登録されている歴史的都市景観。ローマ同様に観光客で混雑しているが、建物の装飾はより繊細で、街全体に統一感がある。石畳の道を歩きながら、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のある広場に差し掛かると、目の前に現れる巨大なドームと大理石のファサードに圧倒される。
途中、15世紀のルネサンス建築「メディチ・リッカルディ宮殿」や、フィレンツェ市庁舎として使われている「ヴェッキオ宮殿」の外観も目にする。どちらもメディチ家の権力と美意識を象徴する建築で、街の歴史的深みを感じさせる。
11:30 ミケランジェロ広場 (Piazzale Michelangelo)
フィレンツェの街を一望できる展望スポット。19世紀に造られた広場で、中央にはミケランジェロの「ダビデ像」のブロンズ製レプリカが立つ。徒歩でもアクセス可能だが、坂道が続くため体力的にはやや厳しい。
道中には小さな水場があり、魚が泳ぐ姿も見られる。川の向こう側に見える街並みは黄色やクリーム色の壁に茶色い屋根が並び、まるでティラミスのようなカラーリング。統一感があり、遠くからでも街の象徴である「ドゥオモ」がはっきりと見える。明日見る予定の本物のダビデ像への期待が高まる。
ヴェッキオ橋(Ponte Vecchio)は、フィレンツェを流れるアルノ川に架かる最古の橋で、14世紀に再建された石造のアーチ橋。特徴的は、橋の上に宝石店や金細工店が並ぶ商店街のような構造で、これは中世から続く伝統。こちらをとおりつつ、大聖堂へと急ぐ。
12:00 サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドゥオモ
フィレンツェの中心にそびえる大聖堂で、正式名称は「Cattedrale di Santa Maria del Fiore」。1296年に着工し、完成までに約140年を要した。世界最大級の石造ドームを持ち、外観は白・緑・赤の大理石で装飾されたゴシックとルネサンスが融合した壮麗な建築。
おそらく、予約時間は「入場可能時間」ではなく「見学可能時間」である可能性が高く、11:15〜12:00のチケットで12:00に入場したところ、屋上到着後すぐに降りるよう促される事態になってしまった。入り口も分かりづらく、正面ではなく側面の裏口のような場所にある。正面には一階見学のための長蛇の列があり、大聖堂を囲むように人が並んでいるため、初見では混乱しやすい。とはいえ、見るべき場所は逃すことなくすべて見学しきれたので良かった。
内部では、天井に描かれた「最後の審判」を間近で見ることができるが、立ち止まるとスタッフに注意される。階段を上ると途中の部屋で彫刻の像がたくさんいる部屋を通る。屋上からの景色は非常に美しく、フィレンツェの街並みを一望できる。
13:30 昼食 Trattoria dei tre amici – Bisteccheria Firenze
トスカーナ地方は牛肉料理が名物ということで、Tボーンステーキを注文。見た目は豪快だが、レア気味であるにも関わらず噛み切るのが大変で、正直微妙。牛肉に関しては日本に勝る国はないのかもしれないという思いがよぎる。
シーフードリゾットも注文したが、こちらはかなり薄味。店員からGoogleマップへのレビューを求められるが、味としてはやや物足りなかった。
14:20 サン・ジョヴァンニ洗礼堂(Battistero di San Giovanni)
ドゥオモの正面に位置する八角形の建物で、フィレンツェ最古の宗教施設のひとつ。内部にはモザイク天井が広がり、キリスト教の物語が描かれている。今回はドゥオモのチケットに含まれていたため見学。
ただし、内部は工事中で、美しい内装を十分に堪能することはできず残念。付属の博物館やレパラータ地下教会遺構も同じチケットで入れるが、美術館続きで展示物にやや飽きが来ていたため今回は見送る。
その後、ぶらぶらとウィンドウショッピングしながら街を歩いてアカデミア美術館までの時間を過ごす。
15:30 ジョットの鐘楼
ドゥオモに隣接する高さ約85mの鐘楼。14世紀に建てられ、ドゥオモ越しの街並みを撮影する定番スポット。時間ごとに入場人数が制限されており、15:30の枠で先頭入場。ドゥオモのチケットを買うとこちらにも入場可能。
アカデミア美術館の予約時間が迫っていたため、急いで階段を駆け上がる。最上階は金網フェンスに覆われていて、景色を楽しむにはやや不自由だが、写真撮影にはフェンスの隙間からベストショットが狙える。
ジョットの鐘楼とドゥオモどちらにも上る必要があるのか?
この2つの建物は、高さも場所もほとんど同じでどちらも階段を上る必要がある。そして、経験できる内容や見られる景色は似ている。ドゥオモの方が金網がない分景色をストレスなく楽しめるという点。天井画をまじかで見られるという点が利点である。一方、写真のクオリティはドゥオモが写る分ジョットの鐘楼に軍配が上がる。大聖堂の1階は並べば無料で見学できるため、天井画も見ることができるし、ドゥオモに上るためには30€のチケットを買う必要があるのに対して、ジョットの鐘楼ならば、20€のチケットで済むことを考えると費用の面でも時間の面でも余程の理由がなければ20€のチケットでジョットの鐘楼に上ることをすすめる。
16:15 アカデミア美術館
フィレンツェを代表する美術館のひとつで、最大の目玉はミケランジェロの「ダビデ像」。16世紀に制作された高さ5mを超える大理石彫刻で、遠くからでも圧倒的な存在感を放つ。
実質的にダビデ像のためだけの美術館といえるため、他の展示は控えめだが、それでも満足度は非常に高い。これまで見てきた美術品の中でも個人的トップレベルの感動だった。
19:00 夕食 Fuoco Matto
開店前から並んで入店。旅行全体を通してもトップレベルの味と雰囲気の店。ウェルカムシャンパンのサービスもあり、プロシュートとブラータチーズのスパイシーピザ、マルゲリータを注文。
店員の対応も非常に親切で、自然とチップをはずんでしまうほど。これほどまでに「チップをあげたくなる店」は初めてかもしれない。料理の味、サービス、雰囲気すべてが揃った、フィレンツェの夜を締めくくるにふさわしい一軒だった。
10月5日
8:45 ウフィツィ美術館 (Galleria degli Uffizi)
フィレンツェ最大の美術館であり、世界的にも有名なルネサンス絵画の宝庫。16世紀にメディチ家の行政庁舎として建てられた建物を改装して美術館として公開されている。展示数は約1,700点以上、ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなど、教科書で見たことのある名画がずらりと並ぶ。
朝早い時間帯は入場料が安く、混雑も比較的少ないため、この時間に訪問。チケットは事前予約済みだが、入場前にはすでに長蛇の列。内部は長い廊下と個室が連なる構造で、順路に沿って進むスタイル。ベンチが多く、休憩しながら鑑賞できるのがありがたい。
特に印象的だったのは、ボッティチェリの『春(La Primavera)』と『ヴィーナスの誕生(Nascita di Venere)』。どちらもサイズが大きく、色彩が柔らかく、空間全体が静かに包まれるような感覚になる。ダ・ヴィンチやラファエロの作品も多数あり、大学時代に授業で学んだ絵画と再会する場面も。バチカン美術館で見たラオコーン像がなぜかここにも展示されていて、少し混乱するが、それもまた美術館の奥深さ。
階段を下りたあたりは一方通行で構造がやや複雑。迷子になるほどではないが、出口までの導線はやや不親切。とはいえ、全体としては非常に満足度の高い美術館だった。
12:00 食事 Trattoria Zà Zà
フィレンツェ中央市場近くの人気店。店内は広くておしゃれだが、広すぎて店員がなかなか捕まらないのが難点。サービスも食事も良好。
注文したのはキノコソースのタリアータとエビとトマトのパスタ。柔らかくてソースとの相性も良好。牛肉リベンジとして注文したタリアータは柔らかくてソースとの相性も良好。ただし、日本の和牛には及ばないという印象。どちらの料理も日本人好みでおいしいのだが、逆に新鮮味がなく、旅先の食事としてはもっととがったものを食べたかったなという気持ちもあった。
デザートにはパンナコッタを頼んだ。おいしかったのだが、おしゃれすぎて思っていたのとはだいぶ違った。イタリアでは意外とパンナコッタを提供しているお店が少ないのか、なかなか食べられずにいた。
13:30 フィレンツェ → ピサ(Trenitalia)
昼食後、フィレンツェからピサへ電車で移動。所要時間は約1時間。車窓から見えるトスカーナの田園風景は、フィレンツェの華やかさとは対照的で、どこか素朴で落ち着いた印象。
ピサ駅に到着後、斜塔近くのホステルにチェックイン。設備は簡素だが、立地が良く、観光には便利。
15:30 ピサの斜塔
世界的に有名な傾いた塔。正式名称は「カンパニーレ(鐘楼)」で、隣接する「ドゥオモ(大聖堂)」と「洗礼堂」とともに「奇跡の広場(Piazza dei Miracoli)」を構成している。12世紀に着工されたが、地盤の弱さから建設途中で傾き始め、現在も傾斜は進行中。高さは約56m、傾斜角度は約4度。
実物を目にすると、思っていたよりも大きく、そして高い。写真では伝わりにくいが、現地で見るとその異様さと存在感に圧倒される。建物の中には入場料を払わないと入れず、今回は上るのは見送り。斜塔以外に目立った観光スポットがないため、広場には人が集中しており、混雑は激しい。
傾いている様子を写真に収めるのは意外と難しく、構図に工夫が必要。街並みは少し田舎のヨーロッパという感じで、駅からメインロードが続いている構造がバーリに似ている印象。ローマやフィレンツェのような観光過密都市から来た身としては、少し落ち着いた気持ちになれる。
18:30 お別れ
ここで弟と別れる。彼はオランダへ帰国する。誰かと一緒に旅をすることで、食事の時間がより楽しくなり、ホステルでの滞在にも安心感が生まれる。英語が堪能な同行者がいることで、現地でのやり取りもスムーズになり、旅の難易度が大きく下がることを実感した。
旅の前半は一人で行動していたため、情報収集や移動、食事の場面で常に気を張っており、心身ともに疲れを感じることが多かった。弟とは次に日本で会えるのが半年後の予定で、名残惜しさはあるが、ここからは再び一人旅の後半戦。気持ちを切り替え、次の目的地に向けて準備を整える。明日に備えて、この日は早めに休むことにした
総評
フィレンツェはローマほどではないものの、観光客はかなり多い。街の規模はそれほど広くなく、主要な観光地はほとんど徒歩で移動可能。美術館や大聖堂など、有料の観光スポットが多く、事前予約が必須の施設も多いため、旅行が決まった時点で早めに予約を済ませておくのが望ましい。特に時間指定のチケットはすぐに埋まる傾向がある。観光できたのは1日半程度だが、見たかった場所は概ね見学できた。ただ、美術館や大聖堂の近くの施設、教会などはほとんど見なかったのでまだまだ見て回る場所もあるだろうと思うし、ショッピングできる場所も充実しているので丸々3日くらい旅程を用意しても楽しめそう。
今回の滞在で最も印象に残ったのは、ミケランジェロのダビデ像。美術品でここまで感情を揺さぶられる体験は稀で、圧倒的な存在感に心を動かされた。
食事は全体的に美味しく、良い店にも出会えた。フィレンツェ名物の牛肉料理は有名だが、個人的には和牛の方が好み。イタリアでは基本的にチップは不要で、代わりに席料として1人あたり約2€が加算されるスタイルが一般的。
治安面では特に不安を感じることはなく、体感的にはローマよりも落ち着いている印象だった。
ピサは、観光の中心がピサの斜塔に集約されているが、その分だけ建築物としての価値が際立っていた。フィレンツェからのアクセスも良く、日帰りで十分に訪問可能。時間に余裕があれば、フィレンツェ滞在中に組み込むことをおすすめしたい。街の雰囲気はのんびりしていて、個人的には好印象。都市部の喧騒から少し離れて、穏やかな時間を過ごすことができた。
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