9月18日
前日のザルツブルク観光でモーツァルトのゆかりの建物や街の歴史に浸った余韻を抱えつつ、今日はオーストリア屈指の絶景村ハルシュタットへ。アルプスの湖畔に佇むこの村は、世界最古の岩塩坑を有し、7000年以上前から人類が定住していた痕跡が残る。「ハルシュタット文化」と呼ばれる鉄器時代の文化圏の中心地でもあり、現在は「ハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」として世界遺産に登録されている。ウィーンからも行くのが簡単ではない場所にあるため観光の日程が組みにくい印象がある。ザルツブルクからハルシュタットに日帰りでの観光を検討している人にも参考にしてもらいたい。
費用
項目 | 金額(€) | 金額(円) |
---|---|---|
バス1日乗車券 | 31.8€ | 約5,098円 |
ハルシュタット岩塩坑 | 40€ | 約6,576円 |
カフェ・ザッハー | 20.5€ | 約3,370円 |
合計 | 92.3€ | 約15,044円 |
7時45分 ザルツブルクからハルシュタットへ|乗り継ぎの妙と車窓の美
ザルツブルク中央駅発のバスに乗ってハルシュタットへ向かう。1日バス電車乗り放題チケット31.80€。バスの乗り換えは3回あり、猶予1分の区間もあったが、バスが驚くほど時間に正確に運行してくれて非常に助かった。バスの車窓から見える景色も非常に美しく楽しい。途中で電車に乗り換える方法もあったのだが、ハルシュタットの向こう岸に着いてしまうことからオールバス旅を選択。ボート代3€と時間のロスを考えてのこと。Wifiの繋がるバス車内で岩塩坑のオーディオガイドをダウンロードしておくことで、少しスムーズになる。行きは進行方向左側に帰りは右側に座ると車窓からの眺め良し。
10:00 ハルシュタット到着|湖と白鳥が迎える静寂の村
天気良し。バスから降りると、非常に空気が澄んでいる感じがする。すぐそばに湖があり、目に飛び込んでくる景色がすでに美しい。白鳥も優雅に泳いでおり、朝早いため人も少なくのんびりとした時間が流れていた
天気良し。早速、岩塩坑へ向かう。Hallstatt lahnのバス停からは岩塩坑が近いのもありがたい。ケーブルカー登り降り+岩塩坑見学チケット40€で購入。ケーブルカーの往復だけだと22€。所要時間は30分に満たないのでコスパが悪そうに思う。
10:15 スカイウォーク|湖とアルプスを見渡す展望台
ケーブルカーに乗って山の上へ。3分足らずで到着。そのままエレベータに乗ってスカイウォークに向かう。湖と向こう岸が見渡せる絶景。天気が良くて助かる。足場が少し張り出た展望台から、湖と遠くの山々のきれいな景色を楽しめる。少し並んで写真を撮影。
そのまま山道をオーディオガイドの番号に従って登っていく。この地域の歴史、出土品から見る習俗、衣服、仕事に関してオーディオで聞きながら登る。ガイドなしだと、軽い山道。それほど見どころもない。
10:45 ハルシュタット岩塩坑|7000年の歴史を滑り降りる
岩塩坑到着。ここでチケットの18€分が必要となる。この時点では正直ただの博物館の様な展示かと思っていたので少し高い買い物だと感じていた。世界最古の岩塩坑として知られるこの場所では、紀元前8世紀〜4世紀の墓地跡や出土品が発見されており、ハルシュタット文化の名の由来にもなっている。施設内で荷物を預け、白い防護服を着用。ツアーは約90分、途中休憩なしなのでトイレは事前に済ませておくのが鉄則。
岩塩抗の建物の中で、荷物を預けつつ、白い防護服のようなものを着用。かなり厳重な防護といえる。建物の中には岩塩鉱の解説パネルがありここで時間が来るまで少し待機。自分は施設に到着して比較的すぐにツアーが始まったので運がよかった。
岩塩鉱の中に潜入。線路が引いてあるトンネルから狭い坑内を歩いていく。
途中で二度ほど滑り台が設置されており、アトラクションのような様相。防護服のお尻の部分が滑りやすくなっている。結構なスピードで楽しい。またテーマパークよろしく滑っている途中に写真を撮影してくれて出口で購入可能。これはただのアトラクションではなく実際に作業員が重い塩をもって滑り降りるように設置されていたとのこと。
ライトアップされた美しい空間。このほか、映像による歴史の説明や実際に使われていた道具の展示。プロジェクションマッピング等。疲れてくるタイミングで座るタイプの展示が挟まるのでバランスが良い。
ガイドがその都度、様々な説明をしてくれる。ドイツ語?なのか全く聞き取れないので不安な気持ちだったが、そのあとに英語で説明してもらえるので安心である。
実際に岩塩を試食させてもらうことも
12:30 ツアー終了
トロッコ型の乗り物でトンネルを抜けてツアー終了。防護服を返却し、ロッカーから荷物を取り出す。お土産に岩塩を受け取り、滑り台で撮影された写真も購入可能。期待以上の体験だった。あらかじめ80〜90分とのアナウンスがあった通り90分で終了。
12:45 ハルシュタット村歩き|絵本のような街並みと絶景
13:40のバスに間に合う様に急いで下山。下りのケーブルカーにはこの時間に乗れた。
村の中心部へ向かい、教会やカラフルな建物を眺めながらゆったりと散策。湖を回るボート(30分14€)にも心惹かれたが、時間の都合で断念。
13:10 パノラマビュースポット
マーケットプレイスや教会を通り過ぎてしばらく歩くとお目当てのパノラマビュースポットに到着。写真を撮りたい観光客でにぎわっている。ここから河畔の街ともいうべきハルシュタットを美しく撮影することが可能。日本人の観光客に声をかけて写真を撮ってもらった。
13:40 バスに乗車
ビュースポットからの道はそれまでと打って変わって人も建物もないような道で少し不安になったが無事バス停に到着。乗り込むと雨が降り出し、タイミングの良さを感じた。
16:00 ザルツブルグ到着 聖アンドレ教会、ミラベル宮殿見学
聖アンドレ教会はザルツブルク中央駅の近くに位置するカトリック教会で、19世紀末にネオゴシック様式で建てられた。尖塔とステンドグラスが特徴的で、観光地としては比較的静かだが、地元の人々に親しまれている祈りの場。内部はシンプルながらも荘厳で、落ち着いた雰囲気が漂う。
ミラベル宮殿は1606年に大司教ヴォルフ・ディートリヒによって建てられたバロック様式の宮殿で、現在は市庁舎としても利用されている。特に有名なのは美しい庭園で、幾何学的に整えられた花壇や彫像、噴水が並び、映画『サウンド・オブ・ミュージック』のロケ地としても知られている。春から秋にかけては花々が咲き誇り、ザルツブルク旧市街を背景にした絶好の撮影スポットとなる。
16:20 カフェザッハー
カフェザッハーにてにてザッハトルテとチョコレートドリンク、ミネラルウォーターのセットを頂く。ザッハトルテは昔お土産で全く同じものを食べた記憶があったが、それほどではなかったのだが、このケーキの重要な点は上に載っている甘さがほとんどない生クリームであると実感。これはお土産用にはない。チョコレートケーキのみだと甘すぎるのだが、生クリームと合わせることで甘さのバランスと口触りが絶妙なものとなる。店内はクラシカルで落ち着いた雰囲気。旅の疲れを癒す至福のひとときとなった。
17:15 メンヒスベルク城塞
ザルツブルグのビュースポットを探して、メンヒスベルク城塞方面へ。向かい始めると急な階段がゴールが見えないほどあり、早くも後悔し始めた。城砦はザルツブルクの要塞の一部であったメンヒスベルク沿いの歴史的な防御壁の一部。ここを歩くと、旧市街の上に高くそびえる石壁と塔が、街の中世の過去をリアルに感じることができる。
17:30 近代美術館
近代美術館自体には用はなく、ここからの眺望が目的。確かにホーエンザルツブルク城からの景色は美しいのだが、城が映らないということでホーエンザルツブルク城と街並みを一枚に収められる絶好の撮影スポット。疲れ切っていたが、来た甲斐があると感じる景色が広がっていた。
18:30 本日の予定終了
宿に戻る。昨日干した洗濯物が乾いていなくてあせる。洗濯物をドライヤーで乾かしつつ、明日に向けて早めの就寝。
ザルツブルク&ハルシュタット総評
ヨーロッパ周遊旅行の最初の目的地として訪れたザルツブルクとハルシュタット。まだヨーロッパの街並みに目が慣れていない状態だったこともあり、街の美しさには純粋な感動があった。とはいえ、慣れの問題を抜きにしても、ザルツブルクの街並みは間違いなく印象深く、今回の周遊旅行の個人的「美しい街ランキング」の上位に入ると感じた。特に印象的だったのは、街の背景にアルプスの山々が広がっている景観。これは他の都市ではなかなか見られない構図で、街と自然が一体となったような独特の美しさを生み出している。直前の機内で『サウンド・オブ・ミュージック』を観ていたこともあり、数時間後にその映画の舞台となった景色が実際に目の前に広がっているという体験は、旅の高揚感をさらに引き上げてくれた。
ザルツブルクでは、ザルツブルクカードを活用して多くの施設に入場した。もしこのカードがなければ、正直なところ、個別に入場料を払ってまで入りたいと思える施設は限られていたかもしれない。その中でも特に印象に残ったのはホーエンザルツブルク城とヘルブルン宮殿。どちらもザルツブルクの魅力を凝縮したようなスポットで、訪れる価値が高い。特に、ヘルブルン宮殿は、歴史的な建築でありながら、仕掛け噴水という遊び心に満ちたアトラクションがあり、堅苦しい知識がなくても誰もが楽しめる場所。特に夏場は、涼しさと驚きが同時に味わえるため、万人におすすめしたいスポットだと感じた。それ以外の施設については、ミラベル宮殿のように入場料がかからず、庭園を自由に散策できる場所の方が、気軽に楽しめて満足度が高かった。ザルツブルクの街自体が歩いて楽しい構造になっているため、施設巡りよりも街歩きの方が充実感があるというのが率直な印象だった。
ハルシュタットについては、ザルツブルクからの日帰り旅行として非常におすすめできる。ウィーンから向かう場合はアクセスが複雑で時間もかかるが、ザルツブルクからなら乗り継ぎもスムーズで、朝出発して夕方には戻ってこられる。ヨーロッパの旅では、どうしても建物や街並みの観光が中心になりがちだが、ハルシュタットでは湖と山に囲まれた雄大な自然を体感できる。こうした自然とのふれあいができるスポットは、旅の中でも貴重な存在だと感じた。村としての規模は小さく、やれることが多いわけではないため、宿泊すると少し手持ち無沙汰になるかもしれない。日帰りで訪れるのがちょうど良い。
食事については、オーストリア料理に特別な期待をしていなかったこともあり、デザート以外はほとんど食べていないため、評価は控えたい。
総じて、ザルツブルクとハルシュタットは、街の美しさ、自然との密接性、そして観光客が多すぎないという点で、非常にゆったりと観光できる理想的な都市だった。とりわけ『サウンド・オブ・ミュージック』を観たことがある人にとっては、映画の世界を現実に体験できるという意味でも、満足度の高い旅になるはずだ。
ヨーロッパ旅の序盤にこの2都市を選んだことは、結果的に大正解だったと思う。静けさと華やかさ、歴史と自然が絶妙に混ざり合った2日間だった。
次回へ続く──
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