9月22日
ミュンヘンで同室だった日本人旅行者から「プラハほど美しい街は見たことがない」と聞かされて以来、期待値は急上昇。オクトーバーフェストの熱狂から一転、次なる舞台は“千の塔の街”と称されるチェコの首都・プラハ。中世の街並みがそのまま残るこの都市は、まるで絵本の世界に迷い込んだかのような美しさだった
費用
項目 | 金額(€/CZK) | 円換算 |
---|---|---|
ミュンヘン→プラハ(夜行バス) | 53.98€ | 約8,995円 |
プラハ城入場料 | 450CZK | 約3,013円 |
ストラホフ修道院図書館 | 150CZK | 約1,004円 |
カレル橋塔 | 190CZK | 約1,272円 |
ミュシャ美術館 | 350CZK | 約2,343円 |
ミュシャ美術館お土産 | — | 約535円 |
両替(現金) | 500CZK | 約3,345円 |
宿泊費(Best Spot Hostel) | 13.27€+都市税326円 | 約2,607円 |
合計 | — | 約23,114円 |
6:15 プラハ中央駅バス停着
今回の旅で初めての夜行バス利用。車内が驚くほど乾燥していたが、水分を充分に持ち込まなかったことによって喉が痛い。多少は眠れたが、かなり眠りは浅かった。前夜の発車は遅れたものの6:15分定刻にプラハ中央駅バス停に到着。まだ少し薄暗い。ここから宿までは歩いて30分もかからないのだが、外が暗くて寒いのと、この時間に外を出歩いても見るべき観光地が開いていない為駅のベンチで1時間ほど本日の旅程を練る。
7時過ぎ、街へと繰り出すと、誰もいない旧市街広場やカレル橋が幻想的な姿を見せていた。昼間は観光客で溢れる場所も、早朝は静寂に包まれ、写真撮影には絶好の時間帯。「これが一国の首都なのか」と思うほど、街並みの美しさに圧倒された。定期的に動き出す仕掛け時計の時間だたので見学してみたのだが、しょぼい。横浜駅の時計の方がまだ躍動感があった。
8:00 Best Spot Hostel 荷物を預ける
宿は旧市街から徒歩圏内の「Best Spot Hostel」。入り口はインターホン式で、毎回スタッフに開けてもらう必要がある。チェックインは午後だが、荷物は快く預かってもらえた。
部屋とロッカーは暗証番号式で防犯性は高いが、男女混合部屋である点と、シャワールームの構造には注意が必要。脱衣所がオープンでおそらく男女わかれておらず、シャワー室内に荷物を持ち込めないため、貴重品は部屋のロッカーに預け、人の少ない時間帯に利用するのがベスト。
8:40 プラハ城
世界最大の城郭面積を誇るプラハ城は、9世紀に築かれた要塞を起源とし、現在はチェコ共和国の大統領府が置かれている。敷地は朝6時から開いているが、歴史的建物の内部公開は9時から。
正面の門を見た後、右側に歩みを進めると外庭の様な場所がありとても並んでいる。チケットを買う列がもの凄いのだと思っていたのだが、これが実際には旧皇宮に入るための列だった。正面の門は出口専用だったため後から思えば正面の門から左に向かえば並ぶことなく城の中庭にたどり着けたことだろう。
旧皇宮
12世紀に建てられた旧皇宮は、ボヘミア王の居住地として使われた建物。ロマネスク、ゴシック、ルネサンスと建築様式が混在し、時代の流れを感じられる。
内部には「ヴラジスラフ・ホール」が広がり、戴冠式や騎馬競技が行われた壮麗な空間。三十年戦争の発端となった「窓外投擲事件」の舞台でもあり、歴史好きにはたまらないスポット。
現在は展示スペースとして一般公開されており、プラハ城の歴史を深く味わえるスポットである。
並んでいると、帽子は脱ぐように言われた。荷物チェックなどがありチケット購入する場所はもうすぐかななどと思っていたのだが、いくら待ってもチケット購入できないまま列が進んでいき焦った。
聖ヴァーツラフの王冠(Crown of Saint Wenceslas)の展示が見られた。神聖ローマ皇帝カール4世(ボヘミア王カレル1世)が1347年の戴冠式のために制作を命じたもので、21〜24カラットの金に、サファイア、スピネル、ルビー、エメラルド、真珠など計100点以上の宝石が施されているらしい。通常は聖ヴィート大聖堂内の戴冠宝物室に厳重に保管されており、一般公開はされていないのだが、特別公開時のみ、旧王宮のヴラジスラフ・ホールなどで展示されることがあるとのこと。だからこんなに並んでいたのかと納得。
旧皇宮を出ると場内の中庭に出ることができ、ようやく中に入ることができたと実感。王冠見て出てくるまで1時間以上かかっていることを考えると並びすぎだ。
聖イジー聖堂
赤い外観が特徴的な聖堂を見てみようと思ったがチケットがいるようだった。まずはチケットカウンターを探して聖堂、大聖堂、黄金の小道を見られるチケットを購入。
プラハ城内で最も古い教会のひとつ。10世紀創建のロマネスク様式で、ボヘミア王家の墓所としても知られる。赤い双塔の外観は写真映え抜群で、内部は静謐な空気に包まれていた。
黄金の小道
城壁沿いに並ぶ小さな家々は、かつて衛兵や職人の住居だった場所。錬金術師が住んでいたという伝説もあり、作家フランツ・カフカが執筆していた家も現存。内部には甲冑や武器の展示があり、細長い廊下を歩くと中世の暮らしが垣間見える。
カラフルな建物が立ち並ぶ。城の中に小さな家がたくさん並んでいるのが不思議だと感じた
聖ヴィート大聖堂
プラハ城最大の見どころであるといっても良いと思われる大聖堂は非常に大きい。今回は12時になるまで大聖堂の内部を見学することができないということで12時前から内部を見学するのに長蛇の列を並ぶことになった。高い塔の上にのぼるためには他のチケットが必要。
内部には美しいステンドグラスが施されており見応え充分。特にミュシャがデザインしたステンドグラスがみられるということでミュシャの絵が好きな人にも嬉しい場所となっている。ステンドグラスの美しさでいえば、ヨーロッパの大聖堂の中でも上位に入ることだろう。
12:50 ロレッタ教会
17世紀に建てられたバロック様式の教会。イタリア・ロレートの「聖家族の家」を模した聖堂を中心に、回廊や礼拝堂が広がる。毎時奏でられるカリヨンの音色が印象的で、外観だけでも十分に美しさを堪能できた。
13:00 ストラホフ修道院図書館
12世紀創建の修道院に併設された図書館。バロック様式の「神学の間」とルネサンス様式の「哲学の間」が並び、天井画と書架が織りなす空間はまるで映画のワンシーン。
図書館の様子は外から眺めるだけで、基本的には中には入ることはできない。他の人が映らないため写真が撮りやすく、天井画の雰囲気も相まって非常に美しい。
チケット売り場が入場口から離れており、プラハ城の側から向かうと入場口を通り過ぎた先にあるためわかりにくい。
14:10 カレル橋 塔
プラハの象徴・カレル橋の東端にそびえる「旧市街橋塔」は、ゴシック建築の傑作として知られる歴史的な塔。14世紀、神聖ローマ皇帝カレル4世の命により建設され、かつては王の戴冠式の行列がこの塔を通ってプラハ城へと向かった。
塔の上部へは階段で登ることができ、展望台からはカレル橋、ヴルタヴァ川、プラハ城を一望できる絶景が広がる。彫刻や装飾も見どころで、聖人像や王の紋章が中世の雰囲気を色濃く残している。
プラハには城の大聖堂の塔がや広場の時計塔など高所から街を見渡せるスポットがたくさんあり、それぞれにお金がかかるためいろいろと吟味した結果、カレル橋の塔を選んだ。こちらからは橋、川、プラハ城が一望できるためプラハの写真スポットとしてもベストだと考える。記録的豪雨直後のため川はきれいではないがかなり美しい景色を楽しむことができた。ちなみに地下では橋の歴史に関する映像を見ることもできる。
17:00 ミュシャ美術館
アール・ヌーヴォーの巨匠、アルフォンス・ミュシャの世界に浸れる美術館。プラハ中心部に位置し、彼の人生と芸術をコンパクトに体感できる貴重なスポットである。
館内には、ポスター、装飾パネル、素描、写真、私物などが展示され、華やかで繊細な作品群が時代を超えて訪れる人々を魅了する。代表作「ジスモンダ」や「四季」シリーズなど、ミュシャの美学が凝縮された空間が広がる。
彼の芸術だけでなく、チェコ民族への深い愛情や社会的メッセージにも触れられ、芸術と歴史の両面から楽しめる内容となっている。
館内は2部屋しかなく、美術館というよりも展示場といった方がよい規模感であり所要時間も30分に満たないだろう。ミュシャに興味がない人が行って楽しめる場所ではないが日常で一度は見たことがあるような独特なミュシャの絵画を見られるのは好きな人にはたまらない空間である。
お土産コーナーが充実しており、ミュシャの絵を用いた付箋や絵葉書などを購入可能
18:00 トゥルデルニーク
プラハの街角でひときわ目を引く屋台スイーツ──それが「トゥルデルニーク」。棒に巻いた生地を炭火で焼き、表面にシナモンシュガーをまぶしたチェコの伝統菓子。近年では、アイスクリームやホイップクリーム、フルーツを詰めた“デザート版”が観光客に人気を集めている。
今回は、クリームとイチゴがトッピングされた華やかな一品を購入。見た目はまるでパフェのようで、写真映えは抜群。だが、口に運んでみると、クリームの甘さは控えめで、生地も期待していたカリッと感よりもややしっとり。表面の香ばしいシナモンに対して、内側の味の薄さが際立ち、少し物足りなさを感じてしまった。
わざわざ両替してまで買っただけに、残念な気持ちも否めない。
20:30 カレル橋 夜景
日が落ちると、プラハの街は昼間とはまったく違う顔を見せる。カレル橋周辺には人が集まり、橋の上ではストリートミュージシャンが音を奏で、アーティストが似顔絵を描いている。石畳に反射する街灯の光が、ヴルタヴァ川の水面に揺らめき、まるで絵画の中に迷い込んだような感覚に包まれる。
朝の静寂とは対照的に、夜のカレル橋は活気に満ちていた。観光客のざわめき、遠くから聞こえる教会の鐘の音、そして橋の上から眺めるプラハ城のライトアップ──すべてが幻想的で、まるで中世の祝祭に紛れ込んだような錯覚を覚える
21:00 宿へ戻る
昼間は少し汗ばむほどの陽気だったが、夜になると空気はひんやりと冷たく、喉の痛みがじわじわと体に広がっていた。どうやら風邪の兆候かもしれない。交通費を浮かすために長距離移動も強引に徒歩で済ませていたり、前日の車中泊による睡眠不足のツケが一気に回ってきたのだろう。体調が優れないこともあり、早めに宿へ戻ることに。布団にくるまっても体の震えが止まらない。
旧市街広場周辺は、夜になっても人の波が途切れることはなく、屋台の灯りが通りを照らしていた。朝は誰もいなかったこの場所が、今ではまるで祭りのような賑わい。そのコントラストが、プラハという街の奥深さを物語っているようだった。
次回へ続く──
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