シェアリングエコノミーの基本

国際ビジネス

シェアリングエコノミーとは?

近年話題に上がるシェアリングエコノミーであるがその実態をよく知らないという方も多いのではないか。今回は、専門家になりたいわけではないけれど、これからの時代の流れとしてシェアリングエコノミーのついて基本的なことを知っておきたいという方にそもそもシェアリングエコノミーとは何なのか。どのように普及しているのか。今後、さらなる拡大のために何が必要なのかを簡単にまとめさせていただいた。

シェアリングエコノミーの概要

シェアリングエコノミー (共有経済)とは、場所・乗り物・モノ・人・お金などの遊休資産をインターネット上のプラットフォームを介して個人間で貸借・交換 することでシェアしていく新しい経済の動き

貸主…遊休資産の活用による収入を得る

借主…所有することなく利用する

貸主、借主の双方にメリットがある合理的な経済システムとして注目を集めている!!

「シェア」という概念

衣食住に関わる物の「シェア」は昔から私たちの暮らしに様々な形で存在していた!

  • 「共有地」 中世ヨーロッパの封建社会において領民達が乏しい資源活用のため、土地をまとめて共 同耕作を行っていた →空間のシェアリング
  • 「結」 日本の白川郷において厳しい環境で生活するため、田植えや稲の刈り取り、養蚕などの労働を人々がお互いに提供し合っていた →労働のシェアリング

コミュニティの需要に対する資産や知識・スキル等の供給力不足を補うための工夫として存在していた

私たちの暮らしを支え、豊かにした3つのシェア まとめ

  1. 共同体による「扶け合いとしてのシェア」-お互いのことをよく知っている地理的又は血縁的に繋がったグループが共同体を構成し、その共同体内で相互シェアが行われる ex)井戸水、川からの水路、入会地など
  2. 政府、自治体による「公共としてのシェア」-利用者と提供者が物理的、継続的に繋がるのが困難なほど広いエリアでも、大勢の人にサービスをシェアすることができる ex)井戸水、川からの水路→上水道システム
  3. 企業による「営利としてのシェア」-企業が会員制度などにより利用者に対して、所有しているモノやサービスをシェアする ex)レンタ カー、CDレンタルなど

※①と②には提供者と利用者の関係に相違がある!

これからの時代に役立つ新しい「シェア」という形

これまで拡大しなかった主因

ストレンジャー・シェアリングの難しさがあったから

ストレンジャー・シェアリング(赤の他人とのシェアリング)を行う際の取引コストが高かった

主なコスト

  • 機会探索
  • 条件交渉
  • 契約履行のための監視・監督

→お互いをよく知るコミュニティ(家族や近隣住民)を越えた広がりはなかった

なぜ今シェアリングエコノミーが進んでいるのか

A.1産業革命による「大量消費社会」へのシフトの結果、先進国に低稼働資産が大量に存在するようになった。また、近年の技術革新によってオンライン上のプラットフォームでサービスが提供されるため、モノや価値を多様な主体間でシェアできるようになった!
簡単に言えば、物があふれて使わない時間や物が増えたこと。それを共有する技術で来たということ

物があふれたことに関するお話

蒸気機関活用・電気利用による大量生産、コンピューターを用いた生産性向上

→供給力の驚異的な拡大

→世界は大量生産消費社会にシフト

→先進国には低稼働資産が溢れる

例)日本における自動車稼働率

世帯普及台数:1.062台自動車利用時間(平日 1人あたり):23.4分

→1日24時間に対する自動車稼働率: 約2%

※自動車だけではなく、住宅、衣服、農機や産業機械など低稼働資産が大量に存在

技術が発展したお話

現在はIT分野の技術革新によりストレンジャー・シェアリングも可能

  • IoT進展によるマッチング技術の向上」による取引コストの低下 通信技術の発展、GPSや各種センサー等の精度向上や小型化により、人やモノの位置 情報、稼働状況などをリアルタイムで把握可能なため、条件交渉や機械探索が容易に
  • 「インターネット上の信用」構築によって顔が見えない相手とも安心して取引可能
  • レビュー評価制度やFacebook等の外部SNSの認証情報利用など貸し手と借り手の間の信頼関係の構築可能

ITを駆使し、低稼働資産を有効活用することで、かつてのシェアリングエコノミーの課題 を解決し、ストレンジャー・シェアリングを可能としたビジネスに

モノや価値の「シェア」がオンラインで行われるようになったため、 提供者と利用者が物理的に繋がっていなくても、世界中どこでもサービスを提供、利用できるようになった

遊休資産をシェアにより、サービスの提供者にも利用者にもなることができる。双方向(提供者と利用者が可変)の取引が可能になった

A.2経済的に余裕があり、モノを所有することに価値を感じていた世代(日本でいうバブル 世代)の価値観に代わり、モノのシェアは合理的、経済的という価値観がリーマンショッ ク後のミレニアル世代(若者)を中心に広まっていったため

*ミレニアル世代とは

アメリカで、2000年代の初頭に成年期を迎えた世代をいう。金融危機や格差の拡大、気候変動問題などが深刻化する厳しい社会情勢のなかで育ったことから、過去の世代とは異なる価値観や経済感覚、職業観などを有する。 2030年代なかばには、ミレニアル世代に属するすべての人が40歳を超え、社会の 中核を形成することから、大きな社会現象を呼び起こし、社会の新たな潮流を形づくる可能性がある。日本においては平成初期に生まれた世代を指す。

 

ミレニアル世代は、モノを所有せずに利用するスタイルであるシェアリングエコノミーと親和性が高い消費傾向を持つ

プロシューマーという考え(アルビン・トフラー『第三の波』1980年)

第一の波:農業革命(新石器革命)生産者と消費者の区分なし

第二の波:産業革命 生産者と消費者がはっきり分かれる

第三の波:情報革命(現在)生産者と消費者が融合したプロシューマーが生まれる

従来型の「シェア」と新しい「新しいシェア」の比較

①範囲が限定的なのか広範囲なのかという「シェア」の対象範囲

②サービスの提供者と利用者

関係性の二つの側面が異なる

従来型のシェア

-共同体による「扶け合いとしてのシェア」 ex)井戸水、川からの水路、入会地など

-政府、自治体による「公共としてのシェア」 ex) 井戸水、水路→上水道システムなど

-企業による「営利としてのシェア」 ex)レンタカー、CDレンタル

新しいシェア

-オンライン上のプラットフォームでサービスが提供されるex)airbnb、uberなど

つまり、あるネットワークに属する見知らぬ個人間の双方向の取引を可能にした!

 

(出典:シェアリングエコノミー協会)

シェアリングエコノミーの市場規模

 

シェアリングエコノミーはシリコンバレーを中心にして、グローバル成長してきた! 2013年に約150億ドルの市場規模が2025年には 約3350億ドルに成長する見込みがある!!

(出典:PwC「The sharing economy – sizing the revenue opportunity」2016年)

日本国内での利用に関して

PwCコンサルティング合同会社の国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2019によると

シェアリングエコノミーの認知が26.9パーセント

利用は25.4%であるという結果が出ている。

サービスのカテゴリー別にみると、モノ、移動手段、場所、空間のシェアリングの認知度は高いがスキルやリソースに関するシェアの認知度は低い。

年齢別の利用傾向をみると、特に10代から30代の関心が高い、30代は子育てや介護に奔走する世代であることから「家事、手伝い、シッターなどのスキルや労働力」も利用が多い。若い世代ほどスマートフォンやデジタルツールに親しんでいることが背景にあると推測される。

利用や認知が少ない要因

日本では規制の問題があり、海外に比べて普及が進んでいないこと

他人にモノや空間を貸すということについて抵抗感があるということ

つまり、法規制と、サービスの品質担保や信頼確立が課題となっている

 

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