「イギリス料理は本当においしくないのか?」――そんな疑問を抱いたことがある人は多いかもしれません。確かに、世界中から観光客が訪れるイギリスではローストビーフやフィッシュアンドチップスといった伝統的な料理がありますが、全体を通して食事がおいしくないといわれがちであります。しかし、イギリス料理がそれほどまでに不味いというのは、果たして本当のことなのでしょうか?今回は実際にイギリスに留学してみて感じたことを赤裸々に述べつつ、歴史や気候から多角的にその理由に迫っていきたいと思います。
イギリス食事の特徴
朝食
イギリスの朝食は、しばしば「フル・イングリッシュ・ブレックファスト」と呼ばれる、ベーコン、卵、トマト、キノコ、ハッシュド・ブラウン(ジャガイモを揚げたもの)、トースト、そしてソーセージなどが含まれた、ボリュームたっぷりの食事です。
ランチ
イギリスのランチには、サンドイッチやパイ、スープなどがよく食べられます。特に、コーンウォール地方のペイストリーである「コーンウォール・パスティ」は有名で、牛肉や野菜が具材として使われます。
夕食
イギリスの夕食は、肉料理や魚料理が中心です。代表的なものには、フィッシュ・アンド・チップス(揚げた魚とフライド・ポテト)や、シェパーズ・パイ(挽肉とマッシュポテトをオーブンで焼いた料理)があります。
スイーツ
イギリスのスイーツには、プディングやケーキ、ビクトリア・スポンジ(スポンジケーキにクリームを挟んだもの)などがあります。また、クリスマスには「クリスマス・プディング」と呼ばれる、ドライフルーツやスパイスを使った特別なプディングが食べられます。
ドリンク
イギリスでは、紅茶が非常に人気があり、お茶を飲む習慣が根付いています。また、ビールやエールも飲まれることが多く、地方ごとに独自のビールがあることが特徴的です。イギリス料理の特徴は、以下のようなものがあります。
代表的なイギリス料理
- フィッシュ・アンド・チップス 揚げた魚とフライドポテトを一緒に食べる、イギリスの代表的なファーストフードです。
- ローストビーフ 牛肉をローストして作る料理で、イギリスの伝統的な食べ物のひとつです。
- ステーキ・アンド・キッドニー・パイ 牛肉と腎臓を詰め込んで作るパイで、イギリスの代表的な料理のひとつです。
- バンブリー・テイル 羊肉と野菜を煮込んで作る料理で、イギリスの地方料理のひとつです。
- カレー インドから伝わったカレーも、イギリスでは非常に人気があります。イギリス独自のスタイルとして、チキン・ティッカ・マサラが有名です。
- シェパーズ・パイ 牛ひき肉や羊ひき肉、野菜を煮込み、上にマッシュポテトを乗せて焼いたパイで、イギリスの伝統的な料理のひとつです。
- プディング イギリスの代表的なデザートには、スポッテッド・ディック、スティッキー・トフィー・プディング、エクレア、トライフルなどがあります。
イギリスの食事が美味しくないとされる理由
1,気候条件
イギリスは寒冷な気候の国で、野菜や果物が十分に育たないため、多くの食材が輸入に頼っています。これは、食材が長距離輸送されるために鮮度が落ち、味が落ちる可能性があることを意味します。また、冬季には季節の制約があるため、野菜や果物の種類が限られてしまうこともあります。
2,歴史的背景
イギリスはかつて、農業革命以前は食糧事情が厳しく、それに伴い、肉や魚などの高タンパクな食材が主流でした。また、第二次世界大戦中には食糧不足が深刻で、食材の節約が求められたため、独特の食文化が形成されました。
3,料理の調理法
イギリスの代表的な料理の多くは、脂肪分が多く、重く、油っぽいものが多い傾向があります。例えば、フィッシュ・アンド・チップスは揚げ物で、ステーキ・アンド・キッドニー・パイはパイ生地で覆われ、牛肉や腎臓が詰まっています。これらの料理は、高脂肪であり、胃腸に負担をかけることがあるため、多くの人には好まれない傾向があります。
以上のような要因から、イギリスの食事が美味しくないとされることがあります。ただし、近年では、国際的な食文化の影響を受け、多様性に富んだ料理が増えてきているため、美味しいと感じる人も多くいるでしょう。
自分の留学経験を踏まえて
食堂のスタイル
イギリス留学の食生活
イギリスに留学した際、食堂での食事がどのようなスタイルであるかについて紹介します。また、留学生として気になった点やおすすめ料理についてもご紹介します。
【朝食】
イギリスの食堂では、朝食は毎日同じメニューが提供されます。典型的な英国風の朝食は、卵、ベーコン、ソーセージ、トマト、キノコ、豆、トーストなどがセットになっています。朝食には紅茶やコーヒー、果物、ヨーグルト、コーンフレークなどもあります。ジャムは非常においしいと感じました。
【昼食・夕食】
昼食と夕食のメニューは毎日変わりますが、昼と夜では同じメニューの中から選ぶことになります。つまり3~4つのメイン料理が用意されており、自分の好きな料理を選択することができます。サイドメニューは複数選択可能で、フライドポテトは毎日提供されています。デザートは複数の中から1つ選ぶことができます。
金曜日には、必ずフィッシュ&チップスが選べます。この日は、イギリス人にとってのお楽しみの一つで、留学生たちも楽しみにしていました。食堂のタルタルソースは塩見がありおいしかったです。
【土日の食事】
土日は食堂が休みなので、周囲のレストランで食べることになります。イギリスには中華、イタリアン、ピザ、タイ料理などのレストランがあります。イギリスのレストランで食事をすることは、留学生にとっても楽しい経験になります。
個人的感想
美味しい食事もある中で食堂での食事はストレスを感じる場面も多くありました。以下では個人的にその理由を述べたいと思います。
味の薄さ
後から調味料で味付けするスタイルなのではないかという印象。朝食の卵も後からケチャップをかけることで十分な味付けになりますし、何より驚いたのはタルタルソースに塩味が全くないことでした。
ヴィーガン食
イギリスを含めたヨーロッパの国は日本と比べてヴィーガンが一般的です。選択式の食事にも3種類のメインの料理のうち一つはヴィーガン用の料理がありました。見た目は美味しそうで、頼んだことがあるのですがこれが個人的には合いませんでした。パサパサとしていて、味もほとんどしないと思いました。大豆で作られたお肉の代用品が特にパサパサしていて苦手でした。
肉の硬さ
日本の和牛に慣れている日本人の場合イギリスに限らず外国ではよく感じることですが、海外の牛肉は硬くて中々噛み切れないことも少なくありません。イギリスでも牛肉が日本と比べてしまうと硬いと感じ、加えて味付けが薄いため美味しくないと思いました。
美味しいと思った料理
ラザニア
ひき肉が使われているため、肉の固さが気になることなく料理自体に味がしっかりとついている為、おいしいと感じました。
鶏肉
どの国においても、また機内食などにも言えることですが鶏肉ははずれが少ない食材だといえると考えています。肉の固さや臭みがなくストレスを感じません。
デザート(プディング)
デザートは毎日の楽しみでした。どんなメニューもクオリティが高く、特にクレームブリュレやプディングは濃厚で非常においしいと感じました。
外食
食堂の伝統的なイギリス料理に拘らなければおいしいものはたくさんあります。中華やピザは味付けがしっかりしていて味が薄いとうことはありません。寿司もサーモンしか具材はありませんが醤油がおいしいと思いました。しかし日本で食べるより美味しいかといわれればわかりません。普段の食事があまり口に合わなかったことから、反動でおいしいと思っていた節もあります。スーパーで購入した辛ラーメンが非常に美味に感じるほどには他の留学生も食事にストレスを感じていました。個人的にはブライトンで食べたシーフードパスタは非常に美味でした。
まとめ
個人的な感想として、留学中に食堂での食事はあまり好ましく感じませんでした。料理の味が薄かったり、ヴィーガンの選択肢が少なかったり、肉が硬かったりと、ストレスを感じることも多かったです。そのため、外に食べに行くこともありました。これは、留学における食堂という家庭料理に近い環境だからこそ起こり得ることかもしれません。
しかし、普通に旅行をする場合は、口コミを調べて評価の高いレストランを選べば、おいしい食事を楽しむことができます。私自身も、ブライトンで食べた海鮮パスタは美味しかったですし、知人も人生で一番おいしいパエリアに出会って通ったという話を聞いたことがあります。
イギリスには、食事がおいしくないという評判が先行している感があります。実際、私もそのような食事に出会ったことがあります。しかし、旅行においてはその理由が分かるほどにおいしくない食事に出会うことは稀であり、しっかりと調べてお金を払えば、問題なく食事を楽しむことができます。
海外生活において、食事は大切な要素の一つです。食堂での食事がストレスになってしまうこともありますが、それを乗り越えるためにも、自分の好みに合うレストランを探して、美味しい食事を楽しむことが大切だと思います。
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